加法定理の証明(ベクトル編)

ベクトルを用いた加法定理の証明

(複号同順)

■証明

x 軸の正方向の基本ベクトルを e 1 y軸の正方向の基本ベクトルを e 2 単位円上の点Pの位置ベクトルを r とする.

r を成分表示すると

r =( r x , r y )  ・・・・・・(1)

と表されるとする.ただし,三角関数の定義より

r x =cosα  ・・・・・・(2)

r y =sinα  ・・・・・・(3)

となる.

x軸の正方向の基本ベクトルを e 1 y軸の正方向の基本ベクトルを e 2 とすると, r の基本ベクトル表示は

r = r x e 1 + r y e 2 =( cosα ) e 1 +( sinα ) e 2  ・・・・・・(4)

ここで, r e 1 e 2  を原点を中心に角度β だけ半時計回りに回転させたものをそれぞれ, r e 1 e 2 とすると,それぞれのベクトルの位置関係は変わらないので

r =( cosα ) e 1 +( sinα ) e 2  ・・・・・・(5)

の関係が得られる.

e 1 e 2  を成分表示で表すと

e 1 =( cosβ,sinβ )  ・・・・・・(6)

e 2 =( cos( β+90° ),sin( β+90° ) ) =( sinβ,cosβ )    (三角関数の計算の基礎を参照) ・・・・・・(7)

となる.

(6),(7)を(5)に代入すると

r =cosα( cosβ,sinβ )+sinα( sinβ,cosβ )

=( cosαcosβsinαsinβ,cosαsinβ+sinαcosβ )  ・・・・・・(8)

となる.

一方, r x軸のなす角 α+β であるので, r を成分表示で表すと

r =( cos( α+β ),sin( α+β ) )  ・・・・・・(9)

となる.

(8)と(9)は同じ r を成分表示したものであるので,そてぞれの成分はお互いに等しい.よって

cos( α+β )=cosαcosβsinαsinβ  ・・・・・・(10)

sin( α+β )=cosαsinβ+sinαcosβ =sinαcosβ+cosαsinβ ・・・・・・(11)

となる.

以上より加法定理が導かれた.

 

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最終更新日 2023年3月2日