等速円運動 : 運動方程式 (equation of motion)

原点 O を中心として,半径 r の円周上を角速度 ω>0 (速さ v=rω )で等速円運動する質量 m の質点の位置 r と加速度 a の関係は  a= ω2r  である (*) ので,この質点の運動方程式は

ma = mω2r = cr  ,  c=mω2     - - - (1)

である.よって, 等速円運動する質点には,比例定数 c (>0) で位置 r に比例した, r とは逆向きの外力 F=cr が作用している.この力は,一定の大きさ

F=|F| = | m ω2 r | =mr ω2 = mv2 r

をもち,常に円の中心を向いているので 向心力である(参照:中心力).

ベクトル r a は一般に3次元空間のベクトルである.しかしながら,質点の原点 O のまわりの力のモーメントが

N= r×F =r× ( cr ) =c ( r× r ) =0

であるため,回転運動の法則

dL dt =N=0

を満たし,原点 O のまわりの角運動量 L が保存する.よって,回転軸の方向(角運動量 L の方向)は時間に依らず常に一定の方向を向いており,円運動の回転面は固定されている.この回転面を xy 平面にとれば,ベクトル r a z 成分は常にゼロなので,2次元の平面ベクトルと考えることができる.

加速度  a= d2 r/ d t2  の表記を用いると,等速円運動の運動方程式は

m d2r dt2 =cr     - - - (2)

と表される.成分ごとに書くと

m d2x dt2 =cx     ,     m d2y dt2 =cy     - - - (3)

であり,各々独立した定数係数の2階同次線形微分方程式である. x 成分について,両辺を m で割り, ω2 = c/m  を用いて整理すると,

d2x dt2 + ω2 x =0     - - - (4)

が得られる.この微分方程式を解くと,その一般解が

x= Axcos ( ωt+αx )    ( Ax , αx : 任意定数)     - - - (5)

のように求まる.同様に, 成分について一般解が

y= Aycos ( ωt+αy )    ( Ay , αy : 任意定数)     - - - (6)

のように求まる.これらの任意定数は,半径 r の等速円運動であることを考えると,初期位相を θ0  として,

Ax = Ay =r   ,   αx = θ0   ,   αy = θ0 π2     - - - (7)

となり,

x(t) = rcos( ωt+ θ0 )   ,   y(t) = rsin( ωt+ θ0 )     - - - (8)

が得られる.このことから,運動方程式(2)には等速円運動ではない解も存在することがわかる(等速円運動は式(2)を満たす解の特別な場合である).

ホーム>>カテゴリー分類>>力学>>質点の力学>>等速円運動>>運動方程式