関連するページを見るにはこのグラフ図を利用してください.

透磁率 (magnetic permeability)

透磁率 (magnetic permeability)は,物質の磁化のしやすさを表す量にであり,物質の種類によって様々な値をとる.また,強さ H A/m の一様な磁場中で,磁場に垂直な導線を置いて電流 I A を流したときに,導線の長さ l m の部分が磁場(磁界)から受ける力の大きさ F=μIHl N の比例定数 μ N/A2 が導線の周囲の物質の透磁率を表す.

真空は磁化するものではないが,真空にも透磁率が定められている.真空の透磁率は

μ0 =4π× 107 1.26× 106 N/A2

であり,空気の透磁率もほぼ同じ値である.

物質の透磁率は,比透磁率 (relative permeability)で表すことが多く,物質の透磁率を μ とすると,物質の比透磁率は

μr = μμ0

と表される.磁化の度合いは3つに分類(常磁性体,反磁性体,強磁性体)され,常磁性体の比透磁率は1よりわずか大きく,反磁性体の比透磁率は1よりわずかに小さい.強磁性体の比透磁率は1に比べてかなり大きい.比透磁率の値が1に近いほど磁化されにくいといえる.

様々な物質の比透磁率を下表に示す.ただし,透磁率は温度に依存するため常磁性体・反磁性体では 20 での比透磁率を示し,強磁性体では外部磁場の強さによって値が大きく変化するため比透磁率の最大値を示している.

分類 物質 比透磁率
常磁性体 空気( 20 1.00000036
アルミニウム( 20 1.000021
反磁性体 水( 20 0.999991
銅( 20 0.999990
銀( 20 0.99998
強磁性体 8000
方向性ケイ素鋼 40000
ミューメタル * 1000000
スーパーマロイ * 6000000

透磁率の大きい物質(強磁性体)を磁場中に置くと,その磁場により磁化され,磁場を取り除いた後も磁化が残って永久磁石になるものもある.


* 

大きい初透磁率の実現を目的に作られたニッケル-鉄の合金をパーマロイ (permalloy)と呼び(名称の由来は透磁率 (permeability) + 合金 (alloy)),ニッケル・鉄の他に銅やクロムを加えたものをミューメタル (μ-metal),モリブデンを加えたものをスーパーマロイ (supermalloy)と呼ぶ.


ホーム>>物理>>第4編 電気と磁気>>第3章 電流と磁場>>透磁率

学生スタッフ作成

2023年12月14日

[ページトップ]

金沢工業大学

利用規約

google translate (English version)