関数の極限の定義

■収束について 

関数 f( x ) において, x a と異なる値をとりながら a に限りなく近づくとき, f( x ) が一定値 α に限りなく近づく場合

lim xa f( x )=α (あるいは, xa のとき f( x )α

と表す. α xa のときの f( x ) 極限値といい, xa のとき, f( x ) α 収束するという.

●参考

定義ε-δ論法による極限の定義

aの近くで定義された関数 f x において,任意の正数 ε に対して,適当な正の数 δ があって,

0< xa <δ のすべてのx について f x b <ε

となるならば,これを

xa のとき f x b あるいは lim xa f x =b

とかき,b xaのときの極限値という

引用元:田島一郎,イプシロン・デルタ.共立出版,1978年,p2

■発散について 

関数 f( x ) において, x a と異なる値をとりながら a に限りなく近づくとき, それに応じて, f( x ) の値が限りなく大きくなる場合 

lim xa f( x )=+ (または, xa のとき f( x )+

と表す . xa のとき, f( x ) 正の無限大に発散する という.

また x a と異なる値をとりながら a に限りなく近づくとき,  f( x ) の値が負で,その絶対値が限りなく大きくなる場合 

lim xa f( x )= (または, xa のとき f( x )

と表す . xa のとき, f( x ) 負の無限大に発散する という.

■極限なし 

関数 f( x ) について 

lim xa f( x )=α lim xa f( x )=+ lim xa f( x )=  

のいずれでもない場合, xa のときの f( x ) 極限はないという. 

■右側極限,左側極限

変数 x が1つの値 a に限りなく近づくとき, a より大きい値をとりながらに近づく場合と a より小さい値をとりながらに近づく場合がある. 

と表し, a=0 の場合はそれぞれ,  x+0 x0 と表す.

xa+0 xa0 のときの f( x ) の極限を,それぞれ x a に近づくときの f( x ) 右側極限左側極限といい 

lim xa+0 f( x )=α lim xa0 f( x )=α  

と表す. 

lim x a f ( x ) = α であることは, x a と異なる値をとりながら a に限りなく近づくとき, どのような近づき方をしても, f ( x ) の値は α に限りなく近づくことを意味している.

したがって,

lim xa f( x )=α  ならば lim xa+0 f( x )= lim xa0 f( x )=α

である.  lim xa+0 f( x ) lim xa0 f( x ) の値が異なるならば  xa のときの f( x ) の極限はない. 

x+,x のときの極限

これまでは, a が一定の数を表すとき, xa のときの関数の極限を考えたが, x+ xの値が限りなく大きくなる),あるいは x x の値が負でその絶対値の値が限りなく大きくなる)の場合の極限について説明する. 

x+ のとき,関数 f( x ) がある一定値 α に限りなく近づく場合

lim x+ f( x )=α x+ のとき f( x )α )  

と表す.

x- のとき,関数 f( x ) がある一定値 α に限りなく近づく場合

lim x- f( x )=α x- のとき f( x )α )  

と表す.

 

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最終更新日: 2024年5月27日