曲げモーメント(bending moment)
片持ち梁の先端に加重
P
を加える.断面
a−a
より先端部分を取り出して考えると,剛体のつり合いの考え方より断面には,加重
P
とつり合うせん断力
F
と加重
P
による力のモーメントとつり合う曲げモーメント
M
が生じている.実際には梁は剛体ではなく弾性体でこの力のモーメントにより梁が曲がるため”曲げ”という言葉が用いられているのだろう.曲げモーメントは力のモーメントと同様にベクトルである.平面図で,曲げモーメントを図示する場合は,図のように円弧に矢印をつけて曲げモーメントによって物体が回転する(曲がる)方向を表す.平面座標で梁の曲げを取り扱う場合は,曲げモーメントはベクトルを使わず曲げモーメントの大きさに正負の符号を付けた値で表す.通常,反時計回りの回転作用を生じさせる曲げモーメントを正の値で表す.
図の場合の曲げモーメント
M
の値
M
を求めてみる(この図では平面内で曲げが生じる場合になるので
M
は曲げモーメントの大きさに正負の符号を付けた値で表すことにする).単純化して,梁の重さは考えず,断面
a−a
より先端部分を線分ABと見なす.点Aのまわりの力のモーメントのつり合いより
値 M を求めて
M
−
L
P
=
0
ただし,
| P |=P
よって
M=LP
となる.
断面
a−a
の右側の梁に生じる応力に着目すると,曲げモーメントは,梁が荷重等により曲がったときに断面に生じる圧縮応力(compressive stress)と引張応力(tensile stress)による点Aのまわりの力のモーメントの総和になる.
曲げモーメントの正負を梁の曲がり具合で定義することもある.右側断面に生じる曲げモーメントの符号と一致させ,下に凸になる場合を正の曲げモーメント,上に凸の場合を負の曲げモーメントとする.
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最終更新日2018年2月19日