減衰振動 : 微分方程式の解法 (solution of differential equation)
減衰振動の従う微分方程式
(
,
:正定数)
- - - (1)
の一般解を求める: 解法1 解法2 (初期値問題は ⇒)
解法1
式(1)は定数係数の2階同次線形微分方程式であるので,解を
とおくと,
,
より
となり,
から,特性方程式
- - - (2)
を得る.この特性方程式の解は
- - - (3)
となり,
,
とおくと,式(1)の一般解は2つの独立な解
,
の線形結合
(
,
:任意定数) - - - (4)
として求まるが,より正確には式(3)の根号内の
の符号によって場合分けする必要がある:
(i)
の場合 (
: 不足減衰)
この場合,式(3)の根号内の
は負であるので,
- - - (5)
とおくと,特性方程式の2つの解は共役複素根として,
,
と表される.
したがって,オイラーの公式
を用いると,2つの独立な解は
となる.よって,一般解は
と書ける.物理量
が実数であることを考えると,
,
とおいて
(
,
: 任意定数(実数))
- - - (6)
が求まる(2つの独立な解として,
,
を選び,それらの線形結合をとることに対応).
また,
,
,
とおいて,加法定理を用いると,一般解は
(
,
: 任意定数)
- - - (7)
と書ける.
(ii)
の場合 (
: 過減衰)
この場合,特性方程式は2つの異なる実数根を持ち,
とおくと,
,
より
- - - (8)
となる(
,
:任意定数).
なので,
であり,2つの独立な解
,
はともに減少関数である.
(iii)
の場合 (
: 臨界減衰)
この場合,特性方程式はただ一つの実数根
(実重根)を持ち,2つの独立な解の一つは
である.
もう一つの解は,階数低減法によって求める.まず,
の関数
を用いて,もう一つの解を
とおくと,
,
であるので,これらを式(1)に代入すると
今,
なので,上式は結局
となり,2回積分すると
(
,
:任意定数)
が得られるが,もう一つの独立な解
を求めるには単純に
とすればよいので,
が求まる.したがって,一般解は
- - - (9)
となる(
,
:任意定数).(実は,
とすれば,
が一般解を表す.)
解法2 ページトップ
式(1)の解を
の形におく(
は
の関数
)と,
,
であるので,これらを式(1)に代入すると
となる.ここで,
であるので,
- - - (10)
が
について成り立つ.この式(10)について
の符号により3つの場合に分ける:
(i)
の場合 (
: 不足減衰)
- - - (11)
とおくと,式(10)は
- - - (12)
となり,単振動の従う微分方程式と一致する.その特性方程式
の解は
であるので,式(12)の一般解は
(
: 任意定数)
- - - (13)
あるいは,
(
: 任意定数)
- - - (14)
と求まる.したがって,
より,式(1)の一般解として
(
,
: 任意定数)
- - - (15)
あるいは,
(
,
: 任意定数)
- - - (16)
が得られる.
(ii)
の場合 (
: 過減衰)
- - - (17)
とおくと,式(10)は
- - - (18)
となり,その特性方程式
の解は
であるので,式(12)の一般解は
(
,
:任意定数)
- - - (19)
と求まる.したがって,式(1)の一般解は
より
(
,
:任意定数) - - - (20)
となる.
(iii)
の場合 (
: 臨界減衰)
この場合,式(10)左辺の第2項目がゼロになるので,
- - - (21)
である.上式を2回積分すると
(
,
:任意定数)が得られるので,式(1)の一般解は
より
(
,
:任意定数) - - - (22)
と求まる.
初期値問題 ページトップ
初期条件
,
を満たす特殊解を求める(
).
(i)
の場合 (
: 不足減衰)
一般解を
とした場合
初期条件より
⇒
なので,初期条件を満たす解は次式となる.
- - - (23)
一般解を
とした場合
初期条件より
⇒
なので,任意定数
,
は
- - - (24)
- - - (25)
を満たすように決定する(
のときは,
を満たす
を考えればよい
).
この場合,
については正負の,
については
(
:整数)の任意性が残っているが,
と制限すると,
- - - (26)
であり,
については,次の2式
,
- - - (27)
を同時に満たすように
の範囲内で考えれば,一意的に決まる.
(ii)
の場合 (
: 過減衰)
一般解 :
初期条件より
上の2式を連立させて
,
を求めると
,
- - - (28)
が得られる.したがって,初期条件を満たす解は次式となる.
- - - (29)
(iii)
の場合 (
: 臨界減衰)
一般解 :
初期条件より
⇒
なので,初期条件を満たす解は次式となる.
- - - (30)
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