ベクトル積の表現行列 (representation matrix for vector product)

ベクトル $a = (\begin{matrix} a_{1} \\ a_{2} \\ a_{3} \end{matrix})$ とベクトル $r = (\begin{matrix} r_{1} \\ r_{2} \\ r_{3} \end{matrix})$ のベクトル積(外積)は

$a \times r = (\begin{matrix} a_{2} r_{3} - a_{3} r_{2} \\ a_{3} r_{1} - a_{1} r_{3} \\ a_{1} r_{2} - a_{2} r_{1} \end{matrix})$ $= (\begin{matrix} 0 & - a_{3} & a_{2} \\ a_{3} & 0 & - a_{1} \\ - a_{2} & a_{1} & 0 \end{matrix}) (\begin{matrix} r_{1} \\ r_{2} \\ r_{3} \end{matrix})$ $= A r$

のように表現行列 $A = (\begin{matrix} 0 & - a_{3} & a_{2} \\ a_{3} & 0 & - a_{1} \\ - a_{2} & a_{1} & 0 \end{matrix})$ を用いて，1次変換として表せる．行列 $A$ は歪対称行列であり，ベクトル積を表現することから，この行列を ${[a]}_{\times}$ と表すことがある（ $a \times r = {[a]}_{\times} r$ ）．

なお， $A$ は正則行列ではない（ $\det A = 0$ ）ので，この変換は正則変換（全単射）ではない．図において， $r$ の終点 $P$ が直線 $l$ 上のどこにあっても，この変換で点 $P$ は同じ点 $P^{'}$ に移る．

また， $r \times a = - a \times r$ $= - A r$ である．

$A$ の固有値は実数に限ると 0 のみであり，その固有ベクトルは， $a$ に平行なベクトルである．

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