剛体の回転軸のまわりの慣性モーメントが大きいほど,その剛体は回転しにくい.したがって,斜面を滑らずに転がる場合,重心を通る回転軸のまわりの慣性モーメントが大きい剛体ほど遅く転がり落ちる.これらの剛体の,重心を通る回転軸のまわりの慣性モーメントを小さい順に並べると,
(球)
(円柱)
(球殻)
(円筒)
となる.したがって,球,円柱,球殻,円筒の順に速く転がり落ちる.
より詳細に考えてみよう.
重心を通る回転軸のまわりの剛体の慣性モーメントを
とすると,水平面とのなす角
の斜面を転がり落ちる剛体の重心の加速度
は
と表される.ここで,
は重力加速度の大きさである.したがって,これらの剛体についての慣性モーメント
を代入して,重心の加速度の大きい順に並べると
(球)
(円柱)
(球殻)
(円筒)
となる.つまり,重心の進む速さの順番は,半径
,質量
に関係なく,剛体の形状で決まる.
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