波の回折
波が隙間や障害物の背後にまで回り込んで波面が伝わっていく現象を波の回折 (diffraction)という.回折現象は波動と粒子とを区別する特徴の1つで,図に示すようにホイヘンスの原理で説明される.
波長
λ 〔m〕
の平面波が隙間(スリット)
AB
のある衝立
P
に入射すると,
AB
に来た波面上の各点から出た素元波が
P
の背後にも進んで重なり合い,回折波面となって
P
の背後に回り込む.(粒子が衝立に入射する場合,スリットを通り抜けた粒子はそのまま真直ぐ通り抜けるだけである.)
入射する波の波長
λ 〔m〕
に対して,スリットの幅
AB
¯
=d 〔m〕
が大きい場合,回折現象はほとんど目立たないが,波の波長
λ
に対して
d
が同程度か,それよりも小さくなると顕著に現れる.
(a)
スリット幅
d
が波長
λ
より十分大きいとき:
d≫λ
波は主に
A
A′
と
B
B′
の間を進んでゆくので,
AB
から
A′
B′
へと直進して回折は目立たない.
(b)
スリット幅
d
が波長
λ
と同程度か,それよりも小さいとき:
d=λ
,
d≪λ
回折現象は著しくなり,回折波面は衝立の背後に回り込み,大きく広がってゆく.
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学生スタッフ作成
2021年10月13日