ホイヘンスの原理

ある瞬間 $3$\displaystyle{t}$ の波面 $3$\displaystyle{\text{PQ}}$ 上の各点を中心として，仮想的な2次波である小球面波（＝素元波）が同じ振動数・速さで出る．この2次波が $3$\displaystyle{{\Delta}t}$ 秒後に重なり合って，共通に接する面（包絡面）が形成されて次の波面 $3$\displaystyle{{\text{P}}^{\prime }{\text{Q}}^{\prime }}$ になる．同様に，さらに $3$\displaystyle{{\text{P}}^{\prime }{\text{Q}}^{\prime }}$ 上の各点を中心とした素元波が $3$\displaystyle{{\Delta}t}$ 秒後に重なり合って，波面 $3$\displaystyle{{\text{P}}^{\prime\prime }{\text{Q}}^{\prime\prime }}$ となる．波面の進み方に関する研究を行ったホイヘンスはこのように波の伝わる現象を説明した．これをホイヘンスの原理という．

★ホイヘンスの説明の欠点

元々のホイヘンスの原理では，波の進行方向の前方に作られる波面について説明でき，波の回折現象もよく説明できた．しかしながら， $3$\displaystyle{ \text{PQ} }$ の各点を波源として一様に広がる素元波は後方にも波面を作るはずであるが，後方の包絡面に次の波面が作られないのかが説明困難であった（右図 $3$\displaystyle{\text{$a$}}$ ）．波面の各点から前方だけに新しい素元波が伝わると考える（右図 $3$\displaystyle{\text{$b$}}$ ）と，後方に波面はできないが，なぜ前方だけに素元波が伝わるかの説明はできない．そこで，フレネルは，後方にも小さな波（後進波）が伝わるが，干渉によって波は弱め合って前方にのみ大きな振幅をもつ波だけが伝わると考えた（右図 $3$\displaystyle{\text{$c$}}$ ）．その後，キルヒホッフが，干渉によって前方にのみ波が伝わることを理論的に示した．

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最終更新日：2025年10月7日