点 を始点としたベクトル があり,点 から引いた点 の位置ベクトルを とすると,ベクトル の点 のまわりのモーメントとは
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で定義されるベクトル量である.上式のようにベクトル と のベクトル積(外積)で定義されるので, の始点を に平行移動し, からその平行移動した に向かって 回転するときに右ネジが進む方向が の方向であり, と で張られる平行四辺形 (淡緑の面)に垂直である.図のように右手を握りこむ向きを回転の向きにとると,右ネジの進む方向は親指の方向に対応する.ベクトルのモーメントを図示する場合,通常,図のように点 O を始点としたベクトルで表す(位置ベクトル の始点をベクトルのモーメントの始点とする).
また の大きさは平行四辺形 の面積に等しく
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となる.
このように,ベクトルのモーメントは,そのベクトルの始点の位置に依存するため,同じベクトル量でも位置が異なればそのモーメントは異なるものになる.また,点 とは異なる点 から点 に引いた位置ベクトルを とすると,ベクトル の点 のまわりのモーメントは
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となり,どの点のまわりのモーメントを考えるかによってベクトルのモーメントは異なるものになる.通常,ベクトルのモーメントの概念が出てくるのは回転運動を取り扱う場合であり,回転中心のまわりのモーメントを考えることが多い.