自由端反射と固定端反射
波源から発生した波が媒質の境界で反射するとき,反射する前の波を入射波 (incident wave),反射した後の波を反射波 (reflected wave)という.一般に,入射波の一部が媒質の境界で反射され,残りは境界面を超えて透過するが,媒質が境界面で自由に振動できる状態(自由端 (free end))と媒質が境界面で固定されている状態(固定端 (fixed end))においては,入射波は完全に反射される.実際に観測される波は,入射波と反射波とが重なり合った合成波である.
■ 自由端反射
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媒質の端が自由に振動できる場合の反射である.右図のように,棒に沿って滑らかに運動できる輪にひもをつけて横波を送ると,右端が自由に振動できる.このとき,右端においてひもの張力は常に水平方向に働くから棒に垂直となる.
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自由端では,ひもの傾き(合成波の端での接線)が常に0となるから,端では定常波の「腹 (antinode)」となって自由に振動する.
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自由端での反射波は,入射波と同じ波形で同じ位相の波となる(位相の変化はない).
■ 固定端反射
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固定端は,媒質が全く振動できないように固定された端での反射である.
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固定端では,入射波の変位
y1
と反射波の変位
y2
を重ねた合成波の変位が常に0になるように波が反射するため,端では定常波の「節 (node)」となって振動できない.
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固定端での反射波は,入射波に対して位相が
π
だけずれた波となる(位相が
π
だけ変化する).つまり,波長を
λ
とすると,反射は入射波に対し
λ/2
分だけ進んだ(もしくは遅れた)波となっている.
⇒ 自由端反射と固定端反射の作図の仕方
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学生スタッフ作成
2021年11月2日