波の屈折 (refraction)

2つの異なる媒質が接している境界面に向かって片方の媒質中を入射してくる波が,その境界面を超えてもう片方の媒質中に進む場合,一般にその進行方向が変化する.この現象を屈折 (refraction)といい,それぞれの媒質で波の速さが異なるために起こる(一般に境界面では,屈折だけでなく反射をも伴う).境界面を超えて進む波(屈折波)の進行方向と境界面の法線とのなす角を屈折角 (angle of refraction)という.波が屈折しても,波の振動数 f は不変であるが,媒質が異なると一般に波の速さと波長は変化する.波が媒質1から媒質2へ進むとき,入射角を i , 屈折角を r とし,媒質1,媒質2での波の速さをそれぞれ v1 v2 ,波長をそれぞれ λ1 λ2 とすると,以下の屈折の法則 (law of refraction)が成り立つ.

sini sinr = v1 v2 = λ1 λ2 = n12 (一定)

上式の n12 を,媒質1に対する媒質2の屈折率 (index of refraction)といい(相対屈折率),2つの媒質によって定まる一定値である.媒質の温度差や深さの違いによって波の速度が変化するときは,同一の媒質でも屈折が生じる.


★ ホイヘンスの原理による「屈折」の作図と説明

媒質1の中を進む平面波(波面 AB ,入射線 a,b ,速さ v1 )が媒質2との境界面に入射角 i で入射し,屈折角 r で媒質2の中に進んで屈折波(波面 CD 屈折射線 a ,b ,速さ v 2 )となる.ホイヘンスの原理に則った下記の手順で作図すると,屈折の法則が成り立つことがわかる.


(1)

入射線 a,b に垂直に入射波面 AB をひく( ABa,b ).

a 上の波が点 A に達したとき, b 上の同位相の波は点 B にある.点 B の波が点 D に到達する時間を t とすると, BD= v1 t である.

(2)

A を中心に半径 BD× ( v2 v1 ) =AC の半円を描く.

時間 t の間に,点 A にあった波は媒質2の中へ進んで半径 AC= v2 t の半球面上まで広がる.

(3)

D から (2) で描いた半円に接線 DC をひく( DCAC ).

無数の半球面(半径は A から D に移るにしたがって小さくなり, AD 上から出た素元波はすべて CD に接する)に接する共通面(包絡面) CD が媒質2における屈折波面となる.

(4)

CD に垂直に点 C を通る屈折射線 a ,及び点 D を通る屈折射線 b をひく.

ABD において sini= BD AD = v1t AD ACD において sinr= AC AD = v2t AD であるので sini sinr = v1 v2 となる.媒質1と媒質2で波の振動数 f は変わらないので v1 v2 = fλ1 fλ2 = λ1 λ2 であり,屈折の法則が成り立つことが分かる.


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学生スタッフ作成

2022年2月15日