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部分分数分解の一意性(1)

次の整式 次の整式 からなる有利関数(ただし,

において, 因数分解され は互いに素(共通因数をもたない)であるとすると ,

を分母とする分数 ,いわゆる部分分数に一意に分解できる

このとき,整式 次数 とすると

である.

■証明


TeXに変換設定していない数学記号や,特殊文字が含まれています。今後直していきます。
として, で割ったときの商を 余りを とすると

・・・・・・(1)

と表すことができる.

の次数を, の次数を とすると

の関係がある.

また,(1)より

・・・・・・(2)

となる.

次に, で割ったときの商を ,余りを とすると

・・・・・・(3)

と表すことができる.

の次数を の次数を とすると

の関係がある.

また,(3)より

・・・・・・(4)

と表すことができる.

このような操作を余りの次数が0次,すなわち余りが定数項のみになるまで繰り返す.

・・・・・・(5-1)

・・・・・・(5-2)

  ・・・

・・・・・・(5-n-3)

・・・・・・(5-n-2)

となり

の次数 は0である( =0).よって

・・・・・・(6)

はある値)

となる.(2)を(4)に代入する.

・・・・・・(7)

(5-1)に(2)と(7)を代入する.

・・・・・・(8)

このような操作を繰り返すと,一般に以下のように表すことができる.

・・・・・・(9)

多項式

(9)に(6)を代入すると

・・・・・・(10)  

の形で表される.(10)の両辺を で割ると

とおくと

・・・・・・(11)

となる.

(11)の両辺に をかける.

・・・・・・(12)  

(12)の左辺の を代入する.

・・・・・・(13)

で割ったときの商を , 余りを で割ったときの商を , 余りを とすると ( より低次数, より低次数となる. )

・・・・・・(14)

・・・・・・(15)

となる.(14)に(15), (13)を代入する.

・・・・・・(16)

の次数は で分子の次数( の次数) より大きい.よって

となる.よって,(16)は


・・・・・・(17)  

となり, は,と を分母とする分数 ,いわゆる部分分数に一意に分解できる.

・・・・・・(18)  

とおく.(18)を以下のように変形する.

・・・・・・(19)

が整式になるためには

(i) となる場合

あるいは

(ii) を因数として含む場合

である.

(ii)の場合

とおくと

・・・・・・(20)

となる.(20)の左辺の次数の最大値は, の次数,あるいは, である.

一方,(20)の右辺の次数の最小値は, の次数である.

の次数は, の次数より低い.よって(20)が成り立つことはない.すなわち,(ii)の場合は存在せず,(i)の場合だけである.

したがって

となり,部分分数分解は一意に決まる

 

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最終更新日: 2025年1月6日