基底の変換 (transformation of basis) (詳細)
次元実ベクトル空間
の任意のベクトルの成分表示
--- (1)
は基本ベクトル
を用いて,基本ベクトル表示
--- (2)
で表すことができ,(1) の表記は (2) の係数の組
でもってベクトルを表す方法とみることができる.
は
の基底の一つであり,ベクトル
を別の任意の基底
を用いて同様に
--- (3)
と表すこともできる.ここで,
は正規直交基底である必要はない.このように基底を取り替えた場合,ベクトル
を表す際に係数の組
で (1) と同じ成分表示の表記を使うというのは紛らわしいので,(2) や (3) の行列表現を用いて,
--- (4)
というように,係数の
行列の前に基底の
行列をかけて表すことで基底を明示し区別すると,どういう基底を用いているか分かりやすい.
基底
から別の基底
への変換を行列
を用いて
--- (5)
のように表すことにすると,この変換行列
は
--- (6)
である.今の場合,
は基本ベクトルなので,
となる.(4) の関係から
であるので,係数
と係数
の間に1次変換
⇔
--- (7)
の関係があることが分かる.
次に,
から
への線形写像
を考え,この線形写像によって
と変換されるとする.
の表現行列を
とすると
--- (8)
であるが,これを (4) のように基底を明示して表記すると,
--- (9)
となる.右辺において (5),(7) を用いると
--- (10)
であり,
を別の基底
で表記すると,
--- (11)
であることから
--- (12)
の関係があることが分かる.
以上のことから,基底の変換
により,基底
において
と表されるベクトルは,別の基底
においては
で表され,基底
における線形写像の表現行列
は,基底
において
と表されることがわかる.このことは,変換元の基底が基本ベクトル
でなくとも一般的に成り立つことである.
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最終更新日:
2023年2月9日