単位

一般に，物理量を表すときは基準となる量の単位と比較して，その何倍であるかを表す．例えば，棒の長さは，長さの基準である 1

m

(メートル) と比べて2倍の量であれば 2

m

，3倍の量であれば 3

m

のように何倍かを表す「数値」に

m

という「単位」を付けて表される．したがって，

物理量の単位には，国際的に定められた国際単位系（SI）が一般に用いられる．SI は以下の 7 つの基本単位を組み合わせて組立単位の定義を行う．

○ 長さ	・・・	メートル $〔 m 〕$
○ 質量	・・・	キログラム $〔 kg 〕$
○ 時間	・・・	秒 $〔 s 〕$
○ 電流	・・・	アンペア $〔 A 〕$

○ 絶対温度・・・ケルビン $〔 K 〕$

○ 物質量・・・モル $〔 mol 〕$

○ 光度・・・カンデラ $〔 cd 〕$

詳細

長さの単位としてメートル（ $m$ ），質量の単位としてキログラム（ $kg$ ），時間の単位として秒（ $s$ ）をとり，この3つの基本単位の組み合わせで色々な量の単位を表現する単位系を MKS単位系という．この3つの基本単位に電流の単位のアンペア（ $A$ ）を基本単位として加えた単位系を MKSA単位系という．力学に現れる物理量の単位は，長さ・質量・時間の単位を組み合わせることですべて定まるので，MKS単位系で事足りる．電磁気学になると電流の単位を含めたMKSA単位系が必要となる．

MKSA単位系に，温度の単位のケルビン（ $K$ ），物質量の単位のモル（ $mol$ ），光度の単位のカンデラ（ $cd$ ）を基本単位として加えた単位系を国際単位系（SI）といい，日本を含む多くの国で使用されている．SI は 7 つの基本単位を組み合わせて組立単位の定義を行う．

【SI基本単位】
物理量	基本単位		単位系
物理量	名称	記号	単位系
長さ	メートル	$m$	MKS	MKSA	SI
質量	キログラム	$kg$
時間	秒	$s$
電流	アンペア	$A$
熱力学温度（絶対温度）	ケルビン	$K$
物質量	モル	$mol$
光度	カンデラ	$cd$

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○ 組立単位

基本単位以外の物理量の単位は，物理量の定義や物理法則に従って基本単位から組み立てられて表され，これを組立単位という．

例）	・速度の単位 $=$ 「長さ（ $m$ ）」 $\div$ 「時間（ $s$ ）」 $= 〔 m/s 〕$
	・加速度の単位 $=$ 「速度（ $m/s$ ）」 $\div$ 「時間（ $s$ ）」 $= 〔 {m/s}^{2} 〕$
	・力の単位 $=$ 「質量（ $kg$ ）」 $\times$ 「加速度（ ${m/s}^{2}$ ）」 $= 〔 kg \cdot {m/s}^{2} 〕 = 〔 N 〕$ （ニュートン）

詳細

例えば，「速度」の国際単位は，長さの単位 $〔 m 〕$ を時間の単位 $〔 s 〕$ で割った $〔 m/s 〕$ となり，「加速度」の国際単位は，速度の単位 $〔 m/s 〕$ を時間の単位 $〔 s 〕$ で割った $〔 {m/s}^{2} 〕$ となる．

【主なSI組立単位】

基本単位を用いて表されるSI組立単位
物理量	単位の名称	基本単位による表し方
面積	平方メートル	$m^{2}$
体積	立方メートル	$m^{3}$
波数	毎メートル	$m^{- 1}$
密度，質量密度	キログラム毎立方メートル	$kg \cdot m^{- 3}$
面密度	キログラム毎平方メートル	$kg \cdot m^{- 2}$
線密度	キログラム毎メートル	$kg \cdot m^{- 1}$
質量濃度	キログラム毎立方メートル	$kg \cdot m^{- 3}$
量濃度	モル毎立方メートル	$mol \cdot m^{- 3}$
速さ，速度	メートル毎秒	$m \cdot s^{- 1}$
加速度	メートル毎秒毎秒	$m \cdot s^{- 2}$
運動量	キログラムメートル毎秒	$kg \cdot m \cdot s^{- 1}$
慣性モーメント	キログラム平方メートル	$kg \cdot m^{2}$
角運動量	キログラム平方メートル毎秒	$kg \cdot m^{2} \cdot s^{- 1}$
磁界の強さ	アンペア毎メートル	$A \cdot m^{- 1}$

固有の名称と記号で表されるSI組立単位
物理量	単位		基本単位による表し方	他のSI単位による表し方
物理量	名称	記号	基本単位による表し方	他のSI単位による表し方
平面角	ラジアン	$rad$	$m \cdot m^{- 1}$
立体角	ステラジアン	$sr$	$m^{2} \cdot m^{- 2}$
周波数	ヘルツ	$Hz$	$s^{- 1}$
力	ニュートン	$N$	$m \cdot kg \cdot s^{- 1}$	$J/m$
圧力，応力	パスカル	$Pa$	$m^{- 1} \cdot kg \cdot s^{- 2}$	${N/m}^{2}$
エネルギー，仕事	ジュール	$J$	$m^{2} \cdot kg \cdot s^{- 2}$	$N \cdot m$ ， $C \cdot V$
仕事率，電力	ワット	$W$	$m^{2} \cdot kg \cdot s^{- 3}$	$J/s$ ， $A \cdot V$
電気量，電荷	クーロン	$C$	$s \cdot A$	$A \cdot s$
電位，電圧	ボルト	$V$	$m^{2} \cdot kg \cdot s^{- 3} \cdot A^{- 1}$	$J/C$
電気抵抗	オーム	$Ω$	$m^{2} \cdot kg \cdot s^{- 3} \cdot A^{- 2}$	$V/A$
静電容量	ファラド	$F$	$m^{- 2} \cdot {kg}^{- 1} \cdot s^{4} \cdot A^{2}$	$C/V$
コンダクタンス	ジーメンス	$S$	$m^{- 2} \cdot {kg}^{- 1} \cdot s^{3} \cdot A^{2}$	$A/V$
磁束	ウェーバー	$Wb$	$m^{2} \cdot kg \cdot s^{- 2} \cdot A^{- 1}$	$V \cdot s$ ， $T \cdot m^{2}$
磁場(磁束密度)	テスラ	$T$	$kg \cdot s^{- 2} \cdot A^{- 1}$	${Wb/m}^{2}$
インダクタンス	ヘンリー	$H$	$m^{2} \cdot kg \cdot s^{- 2} \cdot A^{- 2}$	$Wb/A$ ， $V \cdot s/A$
光束	ルーメン	$lm$	$cd \cdot m^{2} \cdot m^{- 2}$	$cd \cdot sr$
照度	ルクス	$lx$	$m^{- 2} \cdot cd$	${lm/m}^{- 2}$ lm/m^-2
放射能	ベクレル	$Bq$	$s^{- 1}$
吸収線量	グレイ	$Gy$	$m^{2} \cdot s^{- 2}$	$J/kg$
実効線量	シーベルト	$Sv$	$m^{2} \cdot s^{- 2}$	$J/kg$

固有の名称と記号を含むSI組立単位
物理量	単位の名称	単位の記号	基本単位による表し方
力積	ニュートン秒	$N \cdot s$	$m \cdot kg \cdot s^{- 1}$
角速度	ラジアン毎秒	$rad/s$	$m \cdot m^{- 1} \cdot s^{- 1}$
角加速度	ラジアン毎秒毎秒	${rad/s}^{2}$	$m \cdot m^{- 1} \cdot s^{- 2}$
力のモーメント，トルク	ニュートンメートル	$N \cdot m$	$m^{2} \cdot kg \cdot s^{- 2}$
角運動量	ジュール秒	$J \cdot s$	$m^{2} \cdot kg \cdot s^{- 1}$
電界の強さ	ボルト毎メートル	$V/m$	$m \cdot kg \cdot s^{- 3} A^{- 1}$
電荷密度	クーロン毎立方メートル	${C/m}^{3}$	$m^{- 3} \cdot s \cdot A$
電束密度	クーロン毎平方メートル	${C/m}^{2}$	$m^{- 2} \cdot s \cdot A$
誘電率	ファラド毎メートル	$F/m$	$m^{- 3} \cdot {kg}^{- 1} \cdot s^{4} \cdot A^{2}$
透磁率	ヘンリー毎メートル	$H/m$	$m \cdot kg \cdot s^{- 2} \cdot A^{- 2}$
モルエネルギー	ジュール毎モル	$J/mol$	$m^{2} \cdot kg \cdot s^{- 2} \cdot {mol}^{- 1}$
熱容量	ジュール毎ケルビン	$J/K$	$m^{2} \cdot kg \cdot s^{- 2} \cdot K^{- 1}$
比熱容量	ジュール毎キログラム毎ケルビン	$J/ (kg \cdot K)$	$m^{2} \cdot s^{- 2} \cdot K^{- 1}$
熱伝導率	ワット毎メートル毎ケルビン	$W/ (m \cdot K)$	$m \cdot kg \cdot s^{- 3} \cdot K^{- 1}$

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単位

○ 単位系

○ 組立単位