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図1
真空の(または希薄な気体の入った)ガラス管内において,管の両端に封入された電極に高電圧をかけたときに観測される 電子 (electron) の流れを 陰極線 (cathode-rays) という. 陰極 (cathode) から出た電子は 陽極 (anode) へ向かい,陽極側のガラス管の内壁にぶつかって黄緑色の 蛍光 (fluorescence) を発する.図1に示す真空放電管を クルックス管 (Crookes tube) という.電子の軌跡に沿うように管内に 蛍光板 (fluorescent screen) を設置すると,陰極線に沿って蛍光が発せられて陰極線が見えるようになる.
<陰極線の性質>● 電場をかけると電場の方向とは逆向きに曲げられる.
図2
図2のように,陰極線がよく見えるように,陰極側にスリットと背面に蛍光板を設置し,陰極線に垂直に電場をかけると,陰極線は 極側に曲がる.これは,陰極線を構成する電子が負の電荷をもっているためである.
● 磁場をかけるとフレミングの左手の法則に従う向きに力を受けて曲げられる.
図3
図3のように,設置した蛍光板の面と垂直な方向に磁場をかけると,陰極線を構成する電子はフレミングの左手の法則に従って下向きの力を受けるため,陰極線が曲がって見える.
上記全ての性質は,陰極の金属の種類や管内の希薄気体の種類によらない.
19世紀中頃に陰極線が発見され,様々な研究の結果,上記の性質がわかり,陰極線の正体が負電荷をもつ粒子であることが示された.この粒子を「電子」と呼ぶようになり,「電子」の発見へとつながった.陰極線を 電子線 (electron beam) ともいう.
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学生スタッフ作成
2024年2月14日