三角行列の対角化
■定理
次正方行列
は,適当な直交行列
により三角化できる.すなわち,
・・・・・・(1)
と変形できる.
証明
帰納法で証明する.
のときは(1)は明らかに成り立つ.
のとき(1)が成り立つと仮定する.
・・・・・・(2)
(
は直交行列,
は
次の正方行列)
すなわち,(2)が成り立つ.
の固有値は,対角要素になり,
,
,…,
になる.
と
は相似であるので,固有値は一致する.
次の正方行列
の一つの固有値を
とし,
に対応する大きさが1の固有ベクトルを
とする.次に
を第列の成分とする直行行列を
とする.
と表すことにする.
よって
・・・・・・(3)
(3)の両辺に左から
を掛ける.
・・・・・・(4)
(
は
次の正方行列)
という関係が成り立つ.
帰納法における仮定(2)より
・・・・・・(5)
(
は直交行列,
は
次の正方行列)
が成り立つ.
ここで,
を導入し,
と置く.
(∵
,は直交行列であるので,
,
となる.)
(∵
が直交行列であるので,
)
(∵,
が直交行列であるので,
,,よって,
)
(4)より
(参考:
,よって,)
すなわち
となり,
でも成り立つ.
以上より,(1)は,
がすべての自然数で成り立つ.
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最終更新日:2022年9月3日