個の変数 , , , と実定数 ( ) から成る2次形式
······ (1)
を考える. は係数 を成分とする対称行列で, は変数 を成分とする列ベクトルである.
今,式(1)は異なる2つの変数の積 ( ) の項を含むものとする( はゼロでない非対角成分をもつ).
実対称行列の性質より, の固有値 , , , はすべて実数であり,対応する固有ベクトル , , , (大きさ に正規化されている)を各列に並べた直交行列 を用いて, は以下のように対角化できる.
······ (2)
したがって, の直交変換
······ (3)
と式(2)を用いて,式(1)の2次形式を変数 , , , で書き直すと
······ (4)
となる.式(4)の最右辺の形を 2次形式の標準形 という.
直交変換は内積を変えない変換である.幾何学的には,直交変換はベクトルの大きさや2つのベクトルのなす角を変えない変換となっており,回転移動や各軸・原点に対する対称移動に相当する.つまり,2次形式を標準形に直すことで,その式の本質的な性質(幾何学的な図形の形)を変えずに見通しの良い形になり,その式の特徴が分かり易くなるため,2次式の分類などに用いられる.
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最終更新日:2025年10月7日