●目次
- このアプリは何をするもの?
- 画面の構成
- 使い方(操作手順)
- 学ぶ内容 ― 信頼区間の作り方
- 「区間外の割合」が意味すること
- グラフの読み方
- おすすめの観察テーマ
- 記号・数式まとめ表
1 このアプリは何をするもの?
母集団が正規分布
に従うとき,そこから大きさ
の標本をくり返し抽出し,
標本ごとに 母平均
の信頼区間 と 母分散
の信頼区間 を作成するシミュレータである.
信頼区間は標本を取り直すたびに位置も幅も変わり,真の値(母数)を含んだり外したりする.
本アプリは試行を何百回・何千回とくり返すことで, 「区間が真の値を外す割合」が有意水準
(=1−信頼係数)に一致することを,
集計値とグラフの両方で確かめられます.
2 画面の構成
設定
母平均
,母標準偏差
,標本数
,信頼係数(%),1回の繰り返し回数を入力する枠がある.枠の下に.
母分散
,信頼区間の下限値に対応する累積確率
,上限値に対応する累積確率
が自動で表示される.
集計
「平均の信頼区間外の割合」「分散の信頼区間外の割合」を理論値
と並べて表示.加えて標本平均の平均・不偏分散の平均も表示される(折りたたみ可能).
試行
直近に生成した1標本の
,
,
,
,
,
,母平均の区間
,母分散の区間
,そして真の値が「区間内,区間外」のどちらかを「緑,赤」で表示される.⇒ ここを参照
グラフ
直近100試行分の4つのグラフ.①母平均の信頼区間,②母分散の信頼区間,③標本平均の推定,④不偏分散の推定.真の値を外した区間は赤で強調さる.
3 使い方(操作手順)
- 母集団のパラメータを決める
母平均
(例 10),母標準偏差
(例 4),標本数
(例 10)を入力する.母分散
は自動計算される.
- 信頼係数を決める
信頼係数(%)(例 95)を入力します.
,
が自動表示され,信頼係数95%信頼区間が作られる.90 や 99 に変えると区間の幅が変化する.
- 1回の繰り返し回数を決める
1回の
サンプリング実行で何組の標本=いくつの信頼区間を作るかを指定する(既定 100).
- サンプリングを実行する
サンプリング実行 を押すと標本抽出と区間計算が行われ,集計値・試行表示・グラフが更新される. +1,+100,+1000 は,その回数だけ即座に追加蓄積するショートカットである.
- 試行を積み重ねる
ボタンを押すたびに結果が累積される(「累積試行回数」に表示).回数が増えるほど「区間外の割合」が
(95%なら 0.05)に近づく.
- 集計値を読む
「平均の信頼区間外の割合」「分散の信頼区間外の割合」が
に一致していくかを確認する.かっこ内は(外れた回数/試行回数)である.
- やり直す
✕ 全消去(リセット) で累積データを初期化する.
,
,
,信頼係数を変更した場合は自動的にリセットされる.
コツ: まず +1を何度か押して「1回ごとに区間の位置・幅が変わり,たまに真の値を外す」様子を体感し,
次に +1000を積み増して「外す割合が 0.05 に収束する」ことを確かめると,信頼区間の意味がつかみやすくなる.
4 学ぶ内容 ― 信頼区間の作り方
個の標本
を
から取り出し,母平均
と母分散
の信頼係数
の区間を作ります.
は標本平均,
は不偏分散
である.
母分散が未知なので不偏分散
を使う.
統計量
が自由度
の
分布に従うことを利用し,下限
,上限
を求める.
が自由度
のカイ二乗分布に従うことを利用する.
平方和
を
の分位点で割って下限
,上限
を求める.
,
大きい分位点
で割ると小さい下限
に,小さい分位点
で割ると大きい上限
になる点に注意しましょう
(割る値が大きいほど商は小さくなる).
これらの土台となる「標本平均が
) に従う」「(
が
分布に従う」「
が
分布に従う」
といった標本分布そのものは,姉妹教材「
区間推定(基礎)」で確認できる.
5「区間外の割合」が意味すること
このアプリの核心は,信頼区間の正しい解釈を体験で理解することです.
信頼係数95%の信頼区間とは,「真の値がこの区間に入る確率が95%」という意味ではない.
真の値
は動かない定数で,動くのは標本ごとに変わる区間のほうある.正しくは次の意味である.
同じ手続きで区間作りを何度もくり返すと,そのうち約
の区間が真の値を含む
裏返せば,約
の区間は真の値を外す.信頼係数95%なら
,すなわち約5%の区間が母数を外す.
アプリの「平均,分散の信頼区間外の割合」が,試行を重ねるほど
に近づくことがこの事実の実証である.
よくある誤解: 「95%区間だから,いま得た1つの区間に真の値が95%の確率で入っている」は誤りである.
個々の区間は真の値を「含む」か「含まない」かのどちらかで,確率95%は手続きをくり返したときの成功率を指す.
6 グラフの読み方
4つのグラフはいずれも横軸が「試行(直近100件)」である.凡例の色は次の意味である.
- 青い縦線:真の値を含む信頼区間
- 赤い縦線:真の値を外した信頼区間
- 赤い破線:母数(真の値)
または
- 青い点・線:各試行の推定量(標本平均・不偏分散)
① 母平均の信頼区間 / ② 母分散の信頼区間
試行ごとの区間
・
を縦線で描き,赤い破線(真の値)をまたいでいれば青,外れていれば赤で示す.
赤い縦線がおよそ100本に5本の割合で現れることを目で確認できる.
③ 標本平均の推定 / ④ 不偏分散の推定
各試行の
,
の推移を折れ線で表示す.値は赤い破線(
や
)のまわりを上下にばらつくが,
多数の試行での平均は真の値に一致する(集計カードの「標本平均の平均」「不偏分散の平均」で確認).
グラフは直近100試行分を表示しますが,「区間外の割合」は最初からの全試行で集計している.
7 おすすめの観察テーマ
- 収束を見る: +100 → +1000 と積み増し,「区間外の割合」が 0.05 に近づく様子を観察する.
- 信頼係数を変える: 95% → 90% → 99% と変えて,区間の幅と「区間外の割合(≈0.10, 0.01)」がどう変わるか比べる.信頼係数を上げると区間は広く,外す割合は小さくなる.
- 標本数 n を変える:
と で母平均の区間の幅を比較. が大きいほど
が小さくなり区間が狭く(精度が高く)なる.
- 平均と分散を比べる: 母分散の区間(②)赤い点線に対して非対称で,母平均の区間(①)より幅が広く不安定なことを確認する.
- 1回ずつ見る: +1 を連打し,赤い区間(外れ)がときどき現れることを体感する.どの区間が外れるかは事前には分からない.
8 記号・数式まとめ表
| 記号 |
意味 |
計算式 / 定義 |
|
|
標本平均 |
|
|
|
不偏分散 |
|
|
,
|
分布の分位点 |
下側累積確率
, 上側累積確率
に対応(自由度
) |
|
|
母平均の信頼区間 |
|
|
,
|
分布の分位点 |
下側累積確率
, 上側累積確率
に対応(自由度
) |
|
|
母分散の信頼区間 |
|
|
|
有意水準 |
1 − 信頼係数(外す割合の理論値) |