区間推定で用いられる確率分布の理解を深めるためのExcel教材

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【注意】教材のマクロを実行できるようにするためには,マクロのブロックを解除する必要があります。ここを参考にしてください。

■教材の使い方

  1. 「初期化」ボタンを押す.
  2. 母集団のデータ、標本数を設定する.
  3. 計算繰り返し回数を設定する.
  4. 「スタート」ボタンを押す.
  5. n個の標本数を取り出す試行を「計算繰り返し回数」実行される.
  6. 各統計集計の度数分布が集計され、グラフが作成される.
  7. 再度「スタート」ボタンを押すと試行回数が累積される.

■教材説明

この教材は、指定された母平均、標準偏差に従う正規母集団からn個の標本を取り出す場合に関するものである.

Excel教材では,以下の(1)から(5)が成り立つことを確認する.

母集団が正規分布 N μ, σ 2 に従うとき,母集団から無作為に取り出した大きさ n の標本 X 1 X 2 ,・・・, X n に関して

X ¯ N μ, σ 2 n  (ここを参照)  ・・・・・・(1)

X ¯ μ σ 2 n N 0, 1 2  (ここを参照)  ・・・・・・(2)

X ¯ μ S 2 n t n1  (ここを参照)  ・・・・・・(3)

i=1 n X i μ σ 2 χ 2 n  (ここを参照) ・・・・・・(4)

i=1 n X i X ¯ σ 2 χ 2 n1  (ここを参照)  ・・・・・・(5)

が成り立つ.ただし

μ :母平均, σ 2 :母分散, X ¯ = 1 n i=1 n X i :標本平均

である.

Excel教材の概観を図1に示す.


図1 Excel教材の概観

図2を用いてこの教材の使い方を説明する.

  1. シミュレーションに用いる正規母集団の母平均の値を1番のセルに,標準偏差の値を2番のセルに入力する.5番のセルに母分散の値が表示される.
  2. 3番のセルに母集団から無作為に取り出す標本数を入力する.
  3. 4番のセルに連続して標本を取り出す試行回数(計算繰り返し回数)を設定する.
  4. スタートボタンを押す.6番のセルに乱数関数のRAND()を用いたマクロにより母集団の中から指定した標本数のデータ(標本)が取り出される.
  5. 7番のセルに取り出した標本から得られる統計量が表示される.左から
    1. 標本平均:この値は図1の1番のセルに上から順番に累積される.
    2. 不偏分散:この値は図1の2番のセルに上から順番に累積される.
    3. 標本分散
    4. X ¯ μ σ 2 n :この値は図1の3番のセルに上から順番に累積される.
    5. X ¯ μ S 2 n :この値は図1の4番のセルに上から順番に累積される.
    6. i=1 n X i μ σ 2 :この値は図1の5番のセルに上から順番に累積される.
    7. i=1 n X i μ S 2 :この値は図1の6番のセルに上から順番に累積される.
    8. となる.

  6. 8番のセルには各試行で得られた統計量から計算される数値が表示される.左から
    1. 標本平均の平均
    2. 不偏分散の平均
    3. 標本平均の分散
    4. 母分散と標本平均の分散の比(母分散/標本平均の分散)
  7. 9番のセルに今までの試行回数が表示される.
  8. 以上の操作で得られたデータを基にして,図1の8つグラフ(図3はその拡大図)が得られる.
  9. 再度,スタートボタンを押すと試行回数が累積される.

図2 図1の左上拡大

図3を用いて図1の8つのグラフの説明をする.図3では10000回標本を取り出す試行を実施した後に作成されたグラフである.

1番のグラフは,標本平均の推移を示したもので,標本平均が累積されている図1の1番のセルの上から100個分のデータグラフにしたものである.

2番のグラフは,標本の不偏分散の推移を示したもので,標本平均が累積されている図1の2番のセルの上から100個分のデータグラフにしたものである.

3番のグラフのだいだいいろ色の丸は,標本平均10000個(図1の1番のセルの数値)を図1の7番の表で度数分布を計算し,その度数分布を相対度数分布に変換し,更に階級幅で割った値(確率密度に相当)を階級値のところにプロットしたものである.実線は,中心極限定理から求められる正規分布のグラフである.だいだい色の丸が正規分布のグラフにほぼ重なるように分布している.

4番のグラフのだいだいいろ色の丸は,標の不偏分散10000個(図1の2番のセルの数値)を図1の8番の表で度数分布を計算し,その度数分布を相対度数分布に変換し,更に階級幅で割った値(確率密度に相当)を階級値のところにプロットしたものである.

5番のグラフのだいだいいろ色の丸は,各試行で得られた X ¯ μ σ 2 n の値 10000個(図1の3番のセルの数値)を図1の9番の表で度数分布を計算し,その度数分布を相対度数分布に変換し,更に階級幅で割った値(確率密度に相当)を階級値のところにプロットしたものである.実線は,中心極限定理から求められる標準正規分布のグラフである.だいだい色の丸が標準正規分布のグラフにほぼ重なるように分布している.

6番のグラフのだいだいいろ色の丸は,各試行で得られた X ¯ μ S 2 n の値 10000個(図1の4番のセルの数値)を図1の10番の表で度数分布を計算し,その度数分布を相対度数分布に変換し,更に階級幅で割った値(確率密度に相当)を階級値のところにプロットしたものである.実線は,自由度 n1 t 分布のグラフである.だいだい色の丸が自由度 n1 t 分布のグラフにほぼ重なるように分布している.

7番のグラフのだいだいいろ色の丸は,各試行で得られた i=1 n X i μ σ 2 の値 10000個(図1の5番のセルの数値)を図1の11番の表で度数分布を計算し,その度数分布を相対度数分布に変換し,更に階級幅で割った値(確率密度に相当)を階級値のところにプロットしたものである.実線は,自由度 n χ 2 分布のグラフである.だいだい色の丸が自由度 n χ 2 分布のグラフにほぼ重なるように分布している.

7番のグラフのだいだいいろ色の丸は,各試行で得られた i=1 n X i μ S 2 の値 10000個(図1の5番のセルの数値)を図1の11番の表で度数分布を計算し,その度数分布を相対度数分布に変換し,更に階級幅で割った値(確率密度に相当)を階級値のところにプロットしたものである.実線は,自由度 n1 χ 2 分布のグラフである.だいだい色の丸が自由度 n1 χ 2 分布のグラフにほぼ重なるように分布している.

標本数を変更すると分布が変化するので,初期設定の状態ではグラフがうまく表示されない場合がある.そのようば場合はグラフ上部の度数分布作成の設定値(階級の最小値,階級幅)を変更したり,Excelのグラフの調整機能を使って横軸の目盛りの設定などを変更してください.

初期化のボタンを押すと,図1中央部の灰色の列のデータ(4番,5番,6番のセルの値)と図2の6番,7番のセルの値が消去される.


図3 累積サンプリング回数10000回後のグラフ

 

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最終更新日: 2024年6月6日