フーリエ変換の応用例
熱伝導現象を,フーリエ変換を使って解析する.
軸方向に伸びた無限長の針金を考える.針金の時刻
,位置
における温度を
とする.針金の断面積を
として,位置
から位置
の間の微小要素を考える.また,時刻
,位置
における針金の断面を通過する単位時間当たりの熱量を
と表すことにし,
の正方向を
の正方向とする.
物体の熱伝導においては
・・・・・・(1)
となる関係がある.
は比例定数で熱伝導率という.
微小要素に流れこむ単位時間当たりの熱量は
・・・・・・(2)
微小要素に流れでる単位時間当たりの熱量は,1次近似式を用いると
・・・・・・(3)
と表される.よって,時間
の間に微小要素に蓄積される熱量
は
・・・・・・(4)
となる.
一方,微小要素に蓄積される熱によって時間
の間に温度が
上昇したとする.
針金の断面積を
,比熱を
,密度を
とすると,の温度上昇に必要な熱量
は
・・・・・・(5)
となる.
微小要素内部からの発熱がないとすると
となる.よって
となる.
とすると
となる.
,
とおくと
・・・・・・(6)
となり,変数
,
の間に成り立つ偏微分方程式が得られる.
この針金に,
の時刻に
の位置にレーザー光で局部的に加熱する.そのときの温度分布
を
, ・・・・・・(7)
であると近似する.
対称性を考えると
は
に関しては偶関数になる.よって,
を変数に関してフーリエ余弦変換を行うと
・・・・・・(8)
となる.
(8)の両辺を
で微分すると
・・・・・・(9)
となる.(9)の両辺を
で2回偏微分すると
・・・・・・(10)
となる.(9),(10)を偏微分方程式(6)に代入すると,
・・・・・・(11)
となる.したがって,両辺を比較することにより
・・・・・・(12)
が得られる.(12)の一般解は
・・・・・・(13)
(
は任意定数)
となる. (7)で表される
は偶関数なので,フーリエ余弦変換すると
・・・・・・(14)
となる.この問題の結果を用いると
となる.よって
・・・・・・(15)
となる.(15)を(13)に代入すると,
・・・・・・(16)
となるのフーリエ余弦変換が得られる.
次に,(16)を(8)に代入して
を求める.
ここで,ラプラス積分
を用いると
となり,
が求まった.
ホーム>>カテゴリー分類>>数列>>級数展開>>複素フーリエ級数
最終更新日:
2024年10月7日