減衰振動 : ばね‐質量‐ダンパー系 (spring - mass - damper system)
ばねの先端に取り付けられたおもりにダンパー(制動器)を取り付けた系(ばね‐質量系にダンパーを加えた系:ばね‐質量‐ダンパー系)の運動を考える.ダンパーはおもりの運動を抑制する抵抗力をおもりに加える役割を果たす.
このばね‐質量‐ダンパー系の数学モデルを得るために以下を仮定する:
- 重力加速度の大きさ
g
は一定である.
- おもりは質量
m
の質点である.
- ばねの質量およびダンパーの可動部の質量はゼロである(おもりと可動部の質量を合わせて
m
としてもよい).
- ばねは常にフックの法則に従い,その弾性定数(ばね定数)を
k
(>0)
とする.
- ダンパーはおもりの速度に比例した抵抗力をおもりに作用させ,その比例定数を
b
(>0)
とする.
- 空気の影響は無い(おもりの速度に比例する空気抵抗(流体の抵抗)を考えて,空気(流体)がダンパーの役割を果たすとしてもよいが,ここでは制動器のみの抵抗を考える).
図のように,質量
m
の質点(赤丸)を先端に付けたばねを鉛直に吊るし,質点にはダンパーを取り付ける.質点を静止させたとき,ばねは自然長から
xe
だけ伸びたとすると,質点に抵抗力は作用せず,鉛直上向きの弾性力
kxe
と下向きの重力
mg
が釣り合い,
kxe
−mg
=0
が成り立つ.この釣り合いの位置を原点 O として鉛直上向きに
x
軸をとる.
質点を振動させたときに質点に作用する力は,質点の位置
x
と速度
v
を用いて,
ばねの弾性力 :
−k
(
x−xe
)
ダンパーによる抵抗力 :
−bv
(
b
:正の比例定数)
重力 :
−mg
と表されるので,それらの合力
F
は
F=
−k(
x−xe
)
−bv
−mg
=−kx
−bv
+kxe
−mg
=−kx
−bv
- - - (1)
である(釣り合いの位置を原点 O にとると,重力の影響は考慮しなくてよい).したがって,質点の運動方程式は
m
d2
x
dt2
=−kx
−bv
- - - (2)
となる.上式の両辺を
m
で割り,減衰率
γ=
b2m
,単振動の角振動数
ω0=
km
を導入して整理すると,式(2)は
d2x
dt2
+2γ
dx
dt
+
ω02x
=0
- - - (3)
と表され,減衰振動の従う微分方程式が得られる.この微分方程式を解くと,
γ
と
ω0
の関係に応じて,不足減衰(
γ<
ω0
),臨界減衰(
γ=
ω0
),過減衰(
γ>
ω0
)の解が求まる.
ばね‐質量‐ダンパー系のシミュレーションにより,これらの解が確認できる.
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