時計の秒針
連続的に動く長さ
20 cm
の時計の秒針(図の赤棒)の先端は等速円運動している点とみなせる.以下の問に答えよ(反時計回りの角を正とし,
π
はそのまま用いよ).
秒針の角速度
ω [
rad/s ]
を求めよ(1秒間あたりに回る角).
解答
ω=−
2π
60
=−
π
30
[
rad/s
]
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解説
角速度は単位時間あたりに回転する角度のことを表している.秒針の周期
T=60 s
であり,今回は反時計回りの角を正としているため,負の符号をつけるのを忘れないようにすると,角速度は
ω=−
2π
T
=−
2π
60
=−
π
30
[
rad/s
]
と表されることがわかる.
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図のように座標軸をとり,秒針の回転の中心を原点とする.時刻
t [s]
における秒針の先端の位置
r(
t
)=(
x(
t
) ,y(
t
)
)
[m ]
を表す式を求めよ.ただし,
t=0 s
のとき,秒針は12時の方向を指しているとする.
解答
x(
t
)=0.20cos(
−
π
30
t+
π
2
)=−0.20sin(
−
π
30
t
)= 0.20sin
π
30
t [ m ]
y(
t
)=0.20sin(
−
π
30
t+
π
2
)=0.20cos(
−
π
30
t
)=0.20cos
π
30
t [ m ]
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解説
図のように,点
O
を中心とする半径rの円周上を一定の速さ
v
で運動する球を考える.平面の極座標
r
,
θ
を用いて表すと,球の位置ベクトルより
r=(
x,y
)=(
rcosθ,rsinθ
)
--- [1]
と表せる.球は一定の速さで回転していることから,
θ(t)
を表す角速度
ω
は
ω=
dθ
dt
=
一定
--- [2]
であり,時刻
t=0
で回転角
θ(
0
)=
θ
0
として,式[2]
を時間で積分すると,
θ(
t
)=ωt+
θ
0
となる.したがって式[1]の成分は,
x(
t
)=rcos(
ωt+
θ
0
)
,
y(
t
)=rsin(
ωt+
θ
0
)
--- [3]
と表される.今回の場合,
r=0.20 m
,
ω=−
π
30
[
rad/s
]
であり,
t=0 s
のとき,秒針は12時の方向を指しているので,
θ
0
=
π
2
を式[3]に代入すると,解答を導き出すことができる.
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秒針の先端の速度
v=(
v
x
,
v
y
)
[ m/s ]
,および加速度
a=(
a
x
,
a
y
)
[
m/s
2
]
を表す式を求めよ.
解答
v
x
=
dx
dt
=0.20⋅
π
30
cos
π
30
t=
0.20π
30
cos
π
30
t[ m ]
v
y
=
dy
dt
=−0.20⋅
π
30
sin
π
30
t=−
0.20π
30
sin
π
30
t[ m ]
a
x
=
d
v
x
dt
=−0.20
(
π
30
)
2
sin
π
30
t[ m ]
a
y
=
d
v
y
dt
=−0.20
(
π
30
)
2
cos
π
30
t[ m ]
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解説
秒針の先端の速度
v=
dx
dt
=(
v
x
,
v
y
)
の各成分は,
v
x
(
t
)=
dx
dt
=−rωsin(
ωt+
θ
0
)
--- [4]
v
y
(
t
)=
dy
dt
=rωcos(
ωt+
θ
0
)
--- [5]
となる.一方,加速度
a=
dv
dt
=(
a
x
,
a
y
)
の各成分は,
a
x
(
t
)=
d
v
x
dt
=−r
ω
2
cos(
ωt+
θ
0
)
--- [6]
a
y
(
t
)=
d
v
y
dt
=−r
ω
2
sin(
ωt+
θ
0
)
--- [7]
となる.したがって,小問
同様,
r=0.20 m
,
ω=−
π
30
[
rad/s
]
,
θ
0
=
π
2
を,式[4], [5], [6], [7]に代入すると,解答を導き出すことができる.
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秒針の先端の速さ
v=| v | [
m/s ]
,および加速度の大きさ
a=| a |
[
m/s
2
]
を求めよ.
解答
v=r| ω |=
0.20π
30
[
m/s ]
a=r
ω
2
=0.20
(
−
π30
)
2
=
0.20
π
2
900
[
m/s
2
]
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解説
小問
で導き出した速度の各成分より,大きさを求めると
v=
v
x
2
+
v
y
2
=
(
−rωsin(
ωt+
θ
0
)
)
2
+
(
rωcos(
ωt+
θ
0
)
)
2
であり,ここで,
θ=ωt+
θ
0
とおくと,
v=
(
−rωsinθ
)
2
+
(
rωcosθ
)
2
=
r
2
ω
2
(
sin
2
θ+
cos
2
θ)
=r| ω |
となる.半径
r=0.20
,角速度
ω=−
π
30
を代入すると,答えを求めることができる.
一方,加速度の大きさについては,上と同様に小問
(3)
で導き出した加速度の各成分より大きさを求めると,
a=
a
x
2
+
a
y
2
=
(
−r
ω
2
cos(
ωt+
θ
0
)
)
2
+
(
−r
ω
2
sin(
ωt+
θ
0
)
)
2
であり,ここで,速さの場合と同様に
θ=ωt+
θ
0
とおくと,
a=
(
−r
ω
2
cosθ
)
2
+
(
−r
ω
2
sinθ
)
2
=
r
2
ω
4
(
cos2θ
+
sin2θ
)
=r
ω
2
となる.半径
r=0.20
,角速度
ω=−
π
30
を代入すると,答えを求めることができる.
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秒針の先端に質量
10 g
のおもりが付いている.時刻
t [ s ]
において,このおもりに作用する向心力
F [ N ]
(ベクトル量),及びその大きさを求めよ.
解答
向心力
F
=(
−2.0×
10
−3
(
π
30
)
2
sin
π
30
t, −2.0×
10
−3
(
π
30
)
2
cos
π
30
t
)
[ N ]
向心力の大きさ
F=|F|
=2.0×
10
−3
(
π
30
)
2
[ N ]
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解説
おもりに作用する力を求めることから,小問
(3)
で求めた加速度と質量
10 g
(
10 g
を
kg
になおすと,
0.010 kg
になる)を用いると,運動方程式より
F=ma
=(
0.010×(
−0.20
(
π
30
)
2
sin
π
30
t
), 0.010×(
−0.20(
π
30
)2cos
π
30
t
) )
=(
−0.0020
(
π
30
)
2
sin
π
30
t, −0.0020
(
π
30
)
2
cos
π
30
t
)
=(
−2.0×
10
−3
(
π
30
)
2
sin
π
30
t, −2.0×
10
−3
(
π
30
)
2
cos
π
30
t
)
と求めことができる.力の大きさは,
F=|
F |
=
(
−2.0×
10
−3
(
π
30
)
2
sin
π
30
t
)
2
+
(
−2.0×
10
−3
(
π
30
)
2
cos
π
30
t
)
2
=
4.0×
10
−6
(
π
30
)
4
(
sin2
π
30
t
+
cos2
π
30
t
)
=2.0×
10
−3
(
π
30
)
2
と求めることができる.
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2022年10月5日