糸で繋がれた2物体の運動
図のように,質量
m
の物体
A
と質量
M
の物体
B
を伸縮しない軽い糸でつないで軽い滑車にかけ,
B
を静かに放す.重力加速度の大きさを
g
とし,この運動で摩擦や空気抵抗は無視できるものとする.
(1)
A
及び
B
の進行する向きを正の向きとして,
A
の進行方向の加速度を
a
A
,
B
の進行方向の加速度を
a
B
とする.
A
と
B
を結ぶ糸に作用する張力の大きさを
T
として,
A
と
B
の進行方向について,各々の運動方程式を書け.
解答
A
の運動方程式:水平右向きを正の向きとして
maA
=T
B
の運動方程式:鉛直下向きを正の向きとして
MaB
=Mg−T
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解説
A
について,水平右向きを正の向きとし,
A
にはたらく力を運動の第二法則(力
F=
質量
m×
加速度
a
)に当てはめる.
A
にはたらいている力の進行方向成分は張力
T
のみであるから,
A
にはたらく力(の進行方向成分)
FA=T
となる.よって
maA
=FA
=T
という式ができる.
B
については
A
の場合よりも少々複雑になるが考え方は同じである.
B
にはたらいている力の進行方向成分は,鉛直下向きにはたらく重力と,逆向きにはたらく張力があり,この二つの力の合力
FB
=Mg−T
となる.よって
M
a
B
=FB
=Mg−T
という式ができる.
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(2)
A
と
B
の進行方向の加速度の大きさは等しい
(
a
A
=
a
B
=a
)
として,
(1)
で求めた運動方程式から,
A
と
B
の加速度の大きさ
a
と糸の張力の大きさ
T
を
m
,
M
,
g
で表せ.
解答
a=
M
m+M
g
,
T=
mM
m+M
g
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解説
(1)
で求めた式で連立方程式を立てればよい.
a=
a
A
=
a
B
であるから,
{
ma=T ⋯①
Ma=Mg−T ⋯②
となる.
①+②
より
ma+Ma=Mg
となるので,加速度の大きさ
a=
M
m+M
g
が求まる.これを
①
に代入して,張力の大きさ
T=ma=
mM
m+M
g
が求まる.
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(3)
B
の質量
M
が大きくなると,糸の張力の大きさ
T
は大きくなるか,小さくなるか?
解答
解説
張力の大きさ
T=
mM
m+M
g=
m
m
M
+1
g
より,
B
の質量
M
が大きくなると分母が小さくなるので,
T
は大きくなる.
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学生スタッフ作成
2020年10月7日