偶力

図１のように，同一直線上になく，たがいに平行で逆向きの大きさの等しい２力 ${\displaystyle \overrightarrow{F}}$ ，${\displaystyle -\overrightarrow{F}}$ が１つの物体にはたらくとき，この力の組を 偶力 (couple of force)という．偶力を１つの力に合成しようとしても，作用点を定めることができない．また， ${\displaystyle \overrightarrow{F}+\left(-\overrightarrow{F}\right)=\overrightarrow{0}}$ であることから，偶力には物体を移動させるはたらきはない．しかし，偶力には物体を回転させるはたらきがある．下図では物体は反時計回り(anticlockwise)に回転する．

偶力の作用線間の距離を ${\displaystyle l}$ ，力${\displaystyle \overrightarrow{F}}$ の大きさを${\displaystyle F}$ とすると，どの点のまわりの力のモーメントを考えても，その和は ${\displaystyle Fl}$ となる．この ${\displaystyle Fl}$ を偶力のモーメントという．この ${\displaystyle l}$ は，作用線間の距離であるから，偶力のモーメントは軸 ${\displaystyle C}$ の位置によらず一定である． ${\displaystyle l}$ を偶力のうでの長さという．

${\displaystyle \text{C}}$ 点まわりの力のモーメントは，

${\displaystyle Fx+F\left(l-x\right)=Fl}$

(左回りの回転を正方向とする)

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学生スタッフ作成

2017年4月13日