一般的な運動における向心力 (centripetal force in general motion)
ある軌道上を運動している質量
m
の質点の,時刻
t
における位置を
r
(t)
,速度を
v
(t)
=
dr
dt
,加速度を
a
(t)
=
dv
dt
とすると,質点はその位置
r
(t)
における曲率円の円周上を運動しているとみなすことができ,質点にはその曲率中心に向かう向心力
f
=
mv2
(
v
×
a
)
×v
が作用する(
v=
|v|
).曲率半径を
R
とすると,向心力の大きさは
f=
|f|
=
m
|
v
×
a
|
v
=
mv2R
であるので,
R=
v3
|
v
×
a
|
となる.
v
∥
a
ならば,
f
=0
である.
2次元平面での運動の場合は,質点は
xy
平面上を運動しているものとして,
z
成分をすべてゼロとして考えればよい.
[ 詳細な説明 ]
3次元直交座標系において,運動している質量
m
の質点の位置を時刻
t
の関数として
r
(t)
=
(
x(t)
,
y(t)
,
z(t)
)
とすると,質点の速度は
v
(t)
=
(
vx(t)
,
vy(t)
,
vz(t)
)
=
dr
dt
=
(
dx
dt
,
dy
dt
,
dz
dt
)
,
質点の加速度は
a
(t)
=
(
ax(t)
,
ay(t)
,
az(t)
)
=
dv
dt
=
(
dvx
dt
,
dvy
dt
,
dvz
dt
)
と表される.
この加速度
a
を,速度
v
の方向,つまり質点の運動する軌道に沿った方向(軌道の接線方向)の加速度
at
と,それに垂直な方向(軌道の法線方向:主法線方向)の加速度
an
に分解することを考える(
a
=
at
+
an
).質点の速さを
v=
|v|
=
vx2
+
vy2
+
vz2
とすると,速度方向の単位ベクトルは
v/v
なので,軌道の接線方向の加速度
at
は
at
=
(
a⋅
vv
)
vv
=
(
a
⋅
v
)
v
v2
となり,軌道の法線方向の加速度
an
は
an
=
a−
at
=
a−
(
a
⋅
v
)
v
v2
=
v2
a
−
(
a
⋅
v
)
v
v2
=
(
v
⋅
v
)
a
−
(
a
⋅
v
)
v
v2
=
v
×
(
a
×
v
)
v2
となる.ここで,
A×(B×C)=(A⋅C)B−(A⋅B)C
を用いた(※).式の対称性がよくなるように表記すると
軌道の接線方向の加速度 :
at
=
(
v
⋅
a
)
v
v2
軌道の法線方向の加速度 :
an
=
(
v
×
a
)
×
v
v2
である.一般に,質点が曲線軌道上を運動している場合,
an
≠0
であれば,時刻
t
の瞬間で軌道上の位置
r
(t)
において定義される曲率半径の円周上を質点が運動しているとみなすことができ,その曲率円の中心に向かう向心加速度が
an
である.したがって,この質点に作用する向心力は
f
=
man
=
mv2
(
v
×
a
)
×v
であり,その大きさは
|
(
v
×
a
)
×
v
|
=
|
v
×
a
|
v
より
f=
|f|
=
m
|
v
×
a
|
v
である.曲率半径を
R
とすると,向心力の大きさは
f=
mv2R
と表すことができるので
mv2R
=
m
|
v
×
a
|
v
より
R=
v3
|
v
×
a
|
を得る(曲率半径の定義との関係).
an
=0
のとき,つまり速度
v
と加速度
a
が平行(
v
∥
a
)のときは
v
×
a
=0
より,向心力
f
=0
である(曲率半径は無限大に発散).
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