運動軌道における曲率半径 (radius of curvature on motion trajectory)

3次元直交座標系において,運動している質量 m の質点の位置を時刻 t の関数として

r (t) = ( x(t) , y(t) , z(t) )

とすると,質点の速度は

v (t) = ( vx(t) , vy(t) , vz(t) ) = dr dt = ( dx dt , dy dt , dz dt )

質点の加速度は

a (t) = ( ax(t) , ay(t) , az(t) ) = dv dt = ( dvx dt , dvy dt , dvz dt ) = ( d2x dt2 , d2y dt2 , d2z dt2 )

と表される.

速度 v (t) と加速度 a (t) が平行でない場合,運動軌道上の質点の位置 r (t) における曲率円 C は, v a で張られる平面(接触平面)で定義され,その平面の法線ベクトル(従法線ベクトル) n

n = ( nx , ny , nz ) = v × a | v × a |

である.この法線ベクトルが z 軸に平行となるように座標変換すると,曲率円 C xy 平面に平行な面上の円 C に変換される.この1次変換の表現行列を M とする.

n 球面座標 θ , ϕ を用いて成分表示すると, n= ( sinθcosϕ , sinθsinϕ , cosθ )  であるので,上記の1次変換は z 軸周りに ϕ だけ回転した後, y 軸周りに θ だけ回転させることに対応する.ここで,

cosθ=nz  , sinθ= nx2 + ny2  , cosϕ= nx nx2 + ny2  , sinϕ= ny nx2 + ny2

である.3次元空間での x , y , z 軸周りの θ 回転を表す回転行列をそれぞれ Rx (θ) , Ry (θ) , Rz (θ) とすると

M= Ry (θ) Rz (ϕ)

と表される. M により xyz 系から変換された座標系を x y z 系とすると,速度,加速度はそれぞれ

v = v Mt = ( vx , vy , 0 ) = ( dx dt , dy dt , 0 )  ,

a = a Mt = ( ax , ay , 0 ) = ( d2x dt2 , d2y dt2 , 0 )

と変換され,ともに z 成分はゼロである(行ベクトルで表記しているので,行列 M を転置して右からかけている).よって, v a との外積は z 成分のみもつ:

v × a = ( 0, 0, vx ay vy ax )  .

また,回転操作により v , a の大きさとその間の角度は変化しないので

v= | v | = | v | =v | a | = | a | | v × a | = | v × a | = | ( v × a ) z |

である.パラメータ表示された曲線の曲率半径 の定義により, x y 面上の曲率円 C の半径 R

R= { ( dx dt ) 2 + ( dy dt ) 2 } 32 | dx dt d2y dt2 dy dt d2x dt2 | = { ( vx ) 2 + ( vy ) 2 } 32 | vx ay vy ax | = { ( v ) 2 } 32 | ( v × a ) z | = ( v ) 3 | v × a | = v3 | v × a |

と表される(回転操作によって曲率半径 R は変化しない).


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