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対角化可能であるための条件 その2

定理

次正方行列において,個の相異なる固有値が存在するとき, 対角化可能である.

■証明

次正方行列 個の相異なる固有値を,,・・・,とし,各固有値に対応するの固有ベクトルを,,・・・, とする.固有値・固有ベクトルの定義より

 ( に対応する固有値,)・・・・・・(1)

の関係がある.

数学的帰納法により証明する.

のとき,すなわち,1個の固有ベクトルのみのとき,

・・・・・・(2)

とおく.

は固有ベクトルであることより,である.よって,(1)が成り立つためには,

となり,

1個の固有ベクトルは1次独立ある. ・・・・・・(3)

のとき,すなわち, の固有ベクトル,,・・・, のとき,

これらの固有ベクトルの組が1次独立であると仮定する. ・・・・・・(4)

のとき,すなわち, の固有ベクトル,,・・・, のとき

 ・・・・・・(5)

とおく.(5)の両辺に左から をかけると

となり,(1)より

 ・・・・・・(6)

が得られる.次に,(5)の両辺に をかけると

 ・・・・・・(7)

(7)−(6)より

 ・・・・・・(8)

が得られる. 個の固有ベクトル,,・・・, の組が1次独立であるので,(8)が成り立つためには

でなければならない. 個の固有値は相異なるので, )である.よって

 ・・・・・・(9)

となる.(9)を(5)に代入すると

 ・・・・・・(10)

となる. より

 ・・・・・・(11)

となる.(9),(11)より,(5)が成り立つためには,(5)の左辺の )の係数がすべてゼロになる.すなわち

(4)の仮定においては, の固有ベクトル,,・・・,の組は1次独立となる.

以上より, 個の相異なる固有値が存在するとき, の固有ベクトル,,・・・, の組は1次独立である.ただし,である.

すなわち,次正方行列において,個の相異なる固有値が存在するとき,1次独立個の固有ベクトルが存在する.

したがって,この定理より 対角化可能である.

 

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最終更新日:2022年7月19日