2次曲線:有心の場合の標準化の例

例1) 5x26xy+5y2 +2x14y3 =0 はどのような2次曲線を表すか調べよ.

【解答】

2次曲線の標準化に従って,与式

5x26xy+5y2 +2x14y3=0     ······ 

の係数より

a=5,b=3, c=5,d=1, e=7,f=3     ······ 

であり,これらを成分とする2つの対称行列

A= ( 53 35 )     ······ 

A˜= ( 531 357 173 )     ······ 

を考える.判別式

Δ=|A| =55 (3)2 =16 0     ······ 

および,

Δ˜ =|A˜| = { 55 (3)2 }(3) { 5(7) (3)1 }(7) { 51(3) (7) }1

Δ˜ =48224+16 =256     ······ 

より,この2次曲線は有心で退化せず, Δ˜ Δ = 256 16 =16 である.また,行列 A 固有方程式

|AλE| = | 5λ3 35λ | = (5λ) (5λ) (3)2 =λ210λ+16 = (λ2) (λ8) =0

より, A 固有値 λ1=2 , λ2=8 である.したがって,2次曲線の標準化の【定理 1】より,与式の2次曲線は適当な座標変換 (x,y)(X,Y)

2X2+8Y2 16=0       X28+Y22 =1     ······ 

と変換できる.これは,軌道長半径 22 , 軌道短半径 2 楕円を表す.

与式の中心の座標 (x0,y0) 逆行列 A1 =116 ( 53 35 ) を用いて

( x0y0 ) =A1 ( 17 ) =116 ( 53 35 ) ( 17 ) = ( 12 )     ······ 

と求まり,行列 A の固有値 λ1=2 , λ2=8 に対応する(大きさ 1 の)固有ベクトル p1 , p2

( 523 352 ) p1 = ( 33 33 ) p1 =0       p1 =±12 ( 11 )     ······ 

( 583 358 ) p2 = ( 33 33 ) p2 =0       p2 =±12 ( 11 )     ······ 

と求まる.よって, A の対角化を与える(回転変換に対応させた)直交行列を

P= ( p1 p2 ) = 12 ( 11 11 ) = ( cos45°sin45° sin45°cos45° )     ······ 

と書けるので, (X,Y)(x,y) の変換は

( x y ) = P ( X Y ) + ( x0 y0 ) = ( cos45°sin45° sin45°cos45° ) ( X Y ) + ( 12 )     ······ 

と表せる.以上のことから,与式の2次曲線は,式の楕円を,原点を中心に 45° 回転させた後,楕円の中心を (1,2) まで平行移動させたものである.

楕円の回転と平行移動
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最終更新日:2025年10月31日