2次曲線の標準化 (Normalization of quadratic curves)

xy 平面上の2次曲線楕円双曲線放物線)を表す式

ax2 +2bxy +cy2 +2dx+2ey+f =0 ,   (a,b,c) (0,0,0)     ······ 

を,適当な平行移動直交変換により標準形に変換することを 2次曲線の標準化 (normalization of quadratic curves) という(各曲線の標準形は2次曲線の分類表に掲載).


■ 標準化の定理

の左辺を x , y の2次関数

u(x,y)= ax2 +2bxy +cy2 +2dx+2ey+f ,   (a,b,c) (0,0,0)     ······ 

とおき,この式の係数を成分とする2つの行列

A= ( ab bc )     ······ 

A˜= ( abd bce def )     ······ 

および,それらの行列式

Δ=|A| =acb2     ······ 

Δ˜ =|A˜| = (acb2)f (aebd)e (cdbe)d     ······ 

を考える(式,を2次曲線の判別式という).このとき,2次曲線は

{ (x,y)2 | u(x,y)=0 }     ······ 

と表せる.また,行列 A , A˜ 対称行列であり, A の2つの固有値(実数)を λ1 , λ2 とし, A を対角化する直交行列 P= ( p1 p2 ) とする.

D= PtAP = ( λ10 0λ2 )     ······ 

ここで, p1 , p2 は固有値 λ1 , λ2 に対応する規格化された固有ベクトルである.

2次曲線の標準化について,以下のように,

  1. 【定理 1】 有心の場合(判別式 Δ0 ):楕円,双曲線
  2. 【定理 2】 無心の場合(判別式 Δ=0 ):放物線
で分けて考える.

【定理 1】有心の場合の標準化

判別式 Δ0 のとき A の固有値 λ1 , λ2 0 でない実数となり,式の2次曲線は有心である.その中心の座標を (x0,y0) とすると,座標変換

( X Y ) = Pt ( xx0 yy0 )     ······ 

により,式は原点を中心とした標準形

λ1X2 + λ2Y2 +u(x0,y0) =0     ······ 

に変換される.ここで,中心座標は

( x0 y0 ) =A1 ( de )     ······ 

で得られ, u(x0,y0) = Δ˜ Δ である.

また,判別式 Δ˜ =0 の場合( u(x0,y0) =0 ),2次曲線は退化する

▶ 定理1の証明

【定理 1】の場合の分類

  • Δ= λ1 λ2 >0 のとき λ1 , λ2 は同符号であり,
    • λ1 Δ˜ が異符号ならば

      α2= u(x0,y0) λ1 ,   β2= u(x0,y0) λ2     ······ 

      とおいて,式楕円の標準形

      X2α2 + Y2β2 =1     ······ 

      で表すことができる. |λ1| < |λ2| なら横長( X 軸上に焦点が存在), |λ1| > |λ2| なら縦長( Y 軸上に焦点が存在), λ1=λ2 なら円となる.
    • λ1 Δ˜ が同符号ならば

      α2= u(x0,y0) λ1 ,   β2= u(x0,y0) λ2     ······ 

      とおいて,式

      X2α2 + Y2β2 =1     ······ 

      と表すことができるが,式を満たす点は存在しない(実平面状で図形が描けない).
    • Δ˜ =0 ならば,2次曲線は退化し

      α2= |λ2| ,   β2= |λ1|     ······ 

      とおいて,式

      X2α2 + Y2β2 =0     ······ 

      と表すことができ,これを満たす点は原点 (0,0) のみである.
      u(x0,y0) =0 より,式においては中心点 (x0,y0) を表す.

  • Δ= λ1 λ2 <0 のとき λ1 , λ2 は異符号であり,
    • Δ˜0 ならば

      α2= | u(x0,y0) λ1 | ,   β2= | u(x0,y0) λ2 |     ······ 

      とおいて,式双曲線の標準形

      X2 α2 Y2 β2 =±1     ······ 

      で表すことができる. λ1 Δ˜ が異符号ならば上式右辺が +1 となって横向き( X 軸上に焦点が存在),同符号ならば 1 となって縦向き( Y 軸上に焦点が存在)になる.
    • Δ˜ =0 ならば,2次曲線は退化し,式のようにおいて,式

      X2 α2 Y2 β2 =0     ······ 

      となる.したがって,原点で交わる2直線

      Y=± |βα|X =± λ1λ2 X     ······ 

      となる(双曲線の漸近線に相当).
      u(x0,y0) =0 より,式においては中心点 (x0,y0) を交点とする2直線を表す.

▶ 有心の場合の標準化の例


【定理 2】無心の場合の標準化

判別式 Δ=0 のとき A の固有値は λ1=0 , λ2=λ =a+c0 となり,式の2次曲線は無心である.このとき

( x0 y0 ) =1λ ( de )     ······ 

で得られる点 (x0,y0) を用いた座標変換

( X Y ) = Pt ( xx0 yy0 )     ······ 

により,式は標準形

λY2 2gX +u(x0,y0) =0     ······ 

に変換される.ここで

g= aebd a2+b2     ······ 

である.判別式 Δ˜ =0 の場合( g=0 ),2次曲線は退化する

また, A の固有値を λ1=λ =a+c0 , λ2=0 と設定すると,式

λX2 +2gY +u(x0,y0) =0     ······ 

となる( X Y が入れ替わり, Y の項の符号は + となる ).

▶ 定理2の証明

【定理 2】の場合の分類

  • g0 のとき( Δ˜ 0 ),式

    Y2= 2gλ ( X u(x0,y0) 2g )     ······ 

    と変形し, 4p= 2gλ として, X u(x0,y0) 2g を改めて X とおくことにより,放物線の標準形

    Y2=4pX     ······ 

    で表すことができる.
    ※ 点 (x0,y0) は,式の放物線の対称軸を通る点となっている.
  • g=0 のとき( Δ˜ =0 ),2次曲線は退化し,式

    Y2= u(x0,y0) λ =C (定数)     ······ 

    と変形され, C0 なら2つの平行な直線

    Y=±C     ······ 

    となる( C=0 のときは重なった1つの直線 ). C<0 なら,この式を満たす点は存在しない(実平面上で図形が描けない).
    ※ 点 (x0,y0) は,式の平行な2直線の対称軸に原点から垂線を下したときの交点である.

▶ 無心の場合の標準化の例


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最終更新日:2025年10月4日