2次曲線の標準化における【定理 1】有心の場合の標準化 を証明する.
平面上の2次曲線を表す式
の係数を成分とする2つの対称行列
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······
および,それらの行列式
······
を考え, とする.以下の手順で【定理 1】を証明する(各手順の行をクリックすると解説欄が開く).
次に,式の , の1次の項を消去するために,以下の平行移動
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を考える.これは点 が原点となるようにグラフを平行移動することに対応する. , を求めるため
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を式に代入すると
となり, , の1次の項が消えるためには,それらの係数が
······
でなければならない.上式を行列表示すると
······
となる. より, の逆行列が存在し, , は
······
と求まる.これにより,列ベクトル を用いて,式は
······
という 2次形式 定数項 の形で表せる.また,このようにして求めた点 は,2次曲線(楕円・放物線)の中心点となっており,この平行移動によって中心点が原点に移動する.
次に,平行移動した点 に対して,直交行列 による直交変換
······
を考える. を式に代入すると
となり,式の標準形が得られる( は式の対角行列 ).また,
······
および,式より
となるので,式と見比べると
······
であることがわかる.
有心( )である2次曲線の中心点 が原点となるように平行移動【手順 2】した後,行列 を対角化する直交行列 によって直交変換【手順 3】させる座標変換
······
により,式は標準形
······
に変換できる.ここで, , は行列 のゼロでない固有値である.
の固有値に対応する固有ベクトルから成る直交行列 は固有ベクトルの符号の取り方で任意性をもつが, となるように
······
のようにとると, による直交変換を回転移動に対応付けることができる( のときは軸に関する対称移動を伴う).
したがって,幾何学的に考えると,2次曲線の標準化とは,平行移動と回転移動により, 座標系から 座標系に軸を取り直して,式を見通しの良い形にすることである.
※ 上記手順では平行移動してから直交変換(回転移動)しているが,直交変換してから平行移動しても構わない.その際の座標変換は
であり,実質,式と同じである.
平行移動と直交変換を表す式を書き直すと
式 ⇒ ······
となり,これを同次座標を用いたアフィン変換で表すと
······
のように,直交変換と平行移動をまとめて1次変換のように表すことができる.このとき列ベクトルの3番目の成分は必ず となる.上式右辺の3次正方行列を
······
とおくことにする.このアフィン変換の表現を用いると,式は
······
と表すことができるため,1次の項や定数項を含めて,あたかも2次形式の行列表示のように表記できる.ここで, を計算すると
である(上式の最終行では式を用いた).したがって,式に式を代入し,式を用いると,
を得る.このように同次座標の表現を用いると平行移動を含めて1次変換として扱えるので,式展開がスッキリする.
ただし, は直交行列ではないので, , である.ちなみに, なので, であり,行列 によるアフィン変換で判別式は不変である.実際,式より
······
である.
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最終更新日:2025年10月16日