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軸上を単振動する質量 の質点に速度 に比例する抵抗力が作用するときの運動方程式
( , :正定数) - - - (1)
において,単振動の角振動数 と減衰率 を導入して整理すると,定数係数の2階同次線形微分方程式
- - - (2)
が得られる.この特性方程式 の解 は,減衰率 が単振動の角振動数 に等しく ならば,ただ一つの解 (重根)となり,この場合を 臨界減衰 (critical damping) という.式(2)の一般解は
( , :任意定数) - - - (3)
で与えられ,ロピタルの定理により
なので, が無限に大きくなるとゼロに近づく.振動的な運動(不足減衰)と非振動的な運動(過減衰)との境界という意味で “臨界” という言葉を使うが,過減衰の場合と同様に,この解は振動せずに釣り合いの位置( )に収束する 非周期的減衰 (aperiodic damping) を示す.質点の速度は
- - - (4)
であり,初期条件として, , を考えると,任意定数 と は
, - - - (5)
を満たすように決定される.
として,正の初期位置( )と負の初期位置( )の場合について,各々4通りの初期速度で計算した臨界減衰のグラフを下図に示す.いずれも過減衰の場合と似た非周期的減衰のグラフとなっている.
正の初期位置
負の初期位置
として, 同じ初期条件 , の下で, を不足減衰( )の状況から臨界減衰( ),過減衰( )の状況に変えたときのグラフを下図に示す.
不足減衰の状態( )から抵抗を強くしていくと, により振動の減衰が大きくなり,ついには振動しない臨界減衰( )に至る.さらに抵抗を強くしていくと,抵抗が強くなりすぎて動きが鈍くなり, のためになかなか釣り合いの位置( )に近づかない過減衰( )に至る.したがって,臨界減衰のときが最も減衰が速い.
式(3)において, となる時刻は, より
- - - (6)
となる. なので, であれば必ず一度釣り合いの位置( )を通過し, であれば一度も釣り合いの位置を通過しない.
また,式(4)において,速度 とおくと位置 が極大または極小になるときの時刻が得られる.その時刻は, より
- - - (7)
となる. なので, であれば,位置 がどこかの時点で極大または極小となる.