雨滴の落下運動と空気抵抗
風のない空気中を質量
の雨滴が落下している.鉛直下向きを
軸正の向きとすると,雨滴は,速さ
に比例する大きさ
の抵抗力を,
軸負の向きに受けながら落下している.雨滴の初速度を
,重力加速度の大きさを
として,以下の設問に答えよ.
軸と雨滴を含む図を描け.また,雨滴にはたらく力ベクトルをすべて図示せよ.
解答
解説
落下中の雨滴には,地球が雨滴を引っ張る万有引力である重力
が鉛直下向きに働く.また,問題文より空気抵抗を受ける(無視できない)場合なので,大きさ
の抵抗力が雨滴の進行する向きとは逆向きに働く.
したがって,鉛直下向きを
軸正の向きとして軸を設定すると,図1のようになる.
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雨滴にはたらく合力を求めよ.
解答
解説
合力とは,ある物体に働いている二つ以上の力ベクトルを合成した(ベクトルの和をとった)ものを指す.この問題では,雨滴には重力と抵抗力が働いており,両者は一直線上にある.鉛直下向きが
軸正の向きであるから重力を正,抵抗力を負として合成した合力の大きさは,となる.
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加速度を
として,雨滴の運動方程式(微分方程式)をたてよ.
解答
解説
雨滴が落下しているときの,ある時刻
における瞬間の加速度
は
で表すことができる.
この雨滴に働く鉛直方向の合力の大きさは
より
なので,雨滴の運動方程式は,
となる.
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運動方程式(微分方程式)を解いて,任意の時刻
での雨滴の速度を求めよ。
解答
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解説
雨滴の運動方程式
を変数で分離した形に変形すると,
つまり,
両辺を積分すると,(置換積分法を用いた公式1を用いる.←この公式の使い方の例)
において,
のとき
である.このとき,
より,
となる.
よって,
(詳しい解き方は
KIT数学ナビゲーションへ→
変数分離形微分方程式)
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終端速度
を求めよ.
解答
解説
十分に長い間,雨滴が落下したときの速度
を求める.
ここで,
であり,ネイピア数
より,
であるから,指数関数の概形を考えると,
である.
これより,
である.
は定数であるので,雨滴は一定の速度で落下すると言える.
したがって,終端速度は
である.
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学生スタッフ作成
2021年3月17日