階数低減法 (reduction of order)
階の微分演算子
- - - (1)
を用いて表される
階非同次線形微分方程式
を考える.ここで,
である(微分演算子).同次方程式
の解(独立な解は
個)が一つでも分かっていれば,この非同次方程式の階数を一つ下げて,
階の線形微分方程式の形に直すことができる.その方法を 階数低減法(reduction of order) という.
⇒ 2階線形微分方程式の場合の例
まず,同次方程式
のゼロでない解
が分かっているとする.つまり,
- - - (2)
である.この解と,定数ではない
の未知関数
とを用いて,非同次方程式の一般解を
- - - (3)
とおく.式 (3) に式 (1) を作用させて,
を用いると,
- - - (4)
となる.式 (4) の第1項目は式 (2) より消え,第2項目の和の順序を入れ替えて
からの和に変更すると,
- - - (5)
が得られる.ここで,
を導入すると,
であり,式 (5) の [ ]の中を
とおくと,
,
と書ける.したがって,
階の線形微分方程式
が
階の線形微分方程式
の形に直せるのである.この
階の線形微分方程式を(解くことができれば)解いて
を求め,
から
を求めてやれば,式 (3) より一般解
が求まる.
◎ 2階線形微分方程式の例
階数低減法の例として最もよく知られているのは定数係数の2階同次線形微分方程式の特性方程式の解が実重根の場合(*)であるが,まずはより一般的な場合を考える.
2階非同次線形微分方程式
- - - (6)
について,同次方程式
- - - (7)
の一つの解が
と分かっているとする.
の未知関数
を用いて,
とおくと,
,
である.これらを式 (6) に代入すると,
⇒
が得られる.
は式 (7) の解なので,上式左辺の第3項目の( )の中の式はゼロである.したがって,
とおいて,両辺を
で割って整理すると,
⇒
- - - (8)
となる.これが階数低減法によって得られた1階微分方程式である.この1階微分方程式の積分因子は
であり,この積分因子を用いて,一般解として
(
:任意定数)
が求まる.あとは,
から
を求めてやれば,解
が求まる.
◎ 定数係数の2階同次線形微分方程式の特性方程式の解が実重根の場合
定数係数の2階同次線形微分方程式
(
:実定数)
- - - (9)
において,
のときの解を求めることを考える.この場合,特性方程式
の解は
(実重根)
であるので,式 (9) の一つの解は
- - - (10)
である.
の未知関数
を用いて,
とおいて,式 (9) に代入して整理すると,
⇒
⇒
となり,
とおいて(今の場合,特におく必要はないが),
であることを考えると,1階微分方程式
が得られる.この解は
であり,これより
が求まる(
:任意定数).したがって,式 (9) の一般解は
となる.このことから,式 (9) のもう一つの独立な解は
であることが分かる.
ホーム>>カテゴリー分類>>微分>>微分方程式>>階数低減法