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10個の点をドラッグして配置し,「距離が近いものから順にグループにまとめていく」だけの単純なルールから,樹形図(デンドログラム)がどのように組み上がるのかを観察できるアプリの,しくみと数式の解説.
対象アプリ:階層的クラスター学習
階層的クラスター分析は,あらかじめ「いくつのグループに分けるか」を決めなくても,個体どうしの距離だけを頼りに,近いものから順にまとめていく手法である.このアプリを操作すると,次のことが体感できる.
このアプリでは,平面上の10個の点をそれぞれ1つの「個体」とみなす.分析は次の3つの材料だけで進む.
| 個体 | 盤面上の1つの点.最初は10個すべてが,それぞれ単独の1個のクラスターとして始まる. |
| 距離 | 2つの個体(点)の間の,平面上でのまっすぐな距離(ユークリッド距離). |
| クラスター | 1個以上の個体の集まり.結合を繰り返すたびに,クラスターの数は1つずつ減っていく. |
盤面の一番端の列にいるときは「左」または「右」の一方が存在しない.そうした境界では,存在しない方向を最初から比較の対象から外す.次の図は,あるマス(状態)から見える3方向の候補を示したものである.
2点 , の座標をそれぞれ , とすると,2点間の距離は次のユークリッド距離で求める.
個体間の距離
クラスターどうしの距離をどう決めるかにはいくつかの流儀があるが,このアプリが採用しているのは最短距離法(単連結法)である.2つのクラスターの距離を,両者に属する個体の組み合わせの中で最も近い1組の距離と定義する.
クラスター間の距離(最短距離法)
連結法(linkage)には,最短距離法(単連結法)のほかにも「最長距離法(完全連結法)」「群平均法」「ウォード法」などがある.同じ距離データでも連結法を変えるとできあがる樹形図の形は変わる.このアプリが再現しているのは,その中でも最も素朴な最短距離法である.
10個体であれば,9回結合を繰り返すとすべてが1つのクラスターにまとまり,分析は完了する.このアプリの「次を結合」ボタンは,この手順2〜3をちょうど1回分だけ実行するボタンである.
樹形図は,上の手順で記録した結合の履歴をそのまま絵にしたものである.下の図は4個体 A・B・C・D を例に,結合が3回起こる様子を示している.
樹形図はある高さで水平に「輪切り」にすることで,その時点でのグループ分けを取り出せる.たとえば上の例を高さ1.5で切ると「{A,B}」と「{C}」と「{D}」の3グループに分かれる.高さを下げるほど細かいグループに,上げるほど大きなグループにまとまる.
| 点の配置 | 樹形図の傾向 |
| 数個の塊にまとまっている | 塊ごとに低い高さでまとまり,塊どうしが最後に高い位置で結合する,段差のはっきりした樹形図になりやすい |
| ほぼ均等に散らばっている | 結合の高さがなだらかに増えていき,どこで輪切りにするかで結果が変わりやすい |
| 個体 | 分析の対象となる1つのデータ.このアプリでは平面上の1つの点. |
| クラスター | 1個以上の個体からなるグループ.結合を繰り返すたびに数が減っていく. |
| 距離行列 | すべての個体(またはクラスター)どうしの距離を一覧にしたもの. |
| 連結法(linkage) | クラスター間の距離をどう定義するかの方式.最短距離法・最長距離法・群平均法などがある. |
| 報酬 | 行動の直後に環境から与えられる数値の手がかり.良し悪しの唯一の情報源. |
| 最短距離法 (単連結法) |
2クラスター間の距離を,両者に属する個体の中で最も近い1組の距離とする連結法.このアプリが採用している方式. |
| 樹形図 (デンドログラム) |
結合の履歴を,結合の高さ(距離)とともに描いた木構造の図. |
| 凝集型階層 クラスタリング |
個々の個体から出発し,近いものどうしを繰り返し結合していく(下から積み上げる)階層クラスタリングの方式. |
| 連鎖効果 | 最短距離法で,点が線状に並んでいるときに1個ずつ吸収されるように結合が進む現象. |
この記事は 階層クラスター分析アプリ の実装内容にもとづく解説であり,実際にアプリを操作しながら読むことを想定している.
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最終更新日:2026年7月17日