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仮説検定(hypothesis testing)

仮説検定とは,ある母集団の未知の母数 θ について仮説を立て,その仮説のもとで判定に適した統計量の確率分布を考え,あらかじめ定めた基準に基づいて,立てた仮説を棄却するか,棄却しないかを判断する方法である.(仮説検定の考え方を参照)

  • 検定において,母数 θ について立てる仮説のうち,基準として最初に仮定する仮説のことを帰無仮説といい,記号 H 0 を用いて以下のように表す.

    H 0 : θ = θ 0

    母数 θ の値が θ 0 (基準値)であると仮定している.

  • あらかじめ定めた基準として,帰無仮説が正しいにもかかわらず,それを誤って棄却する確率 α を小さく定めておく.この基準となる確率 α のことを有意水準または危険率という. α として,5%,あるいは,1%をよく用いる.観測された結果が帰無仮説のもとでは起こりにくいと判断されるとき,帰無仮説を棄却する.帰無仮説を棄却するような統計量の値の範囲を棄却域という.

  • 判定には,帰無仮説が成り立つとしたときに確率分布が分かる統計量を用いる.その統計量(確率変数)の確率分布は,帰無仮説が成り立つと仮定し,標本の大きさに応じて求める.

  • 帰無仮説に対立する仮説のことを対立仮説といい,記号 H 1 を用いて表す.帰無仮説が棄却されたとき,対立仮説が支持される.検定の内容によって,対立仮説 H 1 の立て方には以下の3通りがある.

    • H 1 : θ > θ 0

      右片側検定:基準より大きいことを調べる.


      確率分布と棄却域(赤色矢印)
    • H 1 : θ < θ 0

      左片側検定:基準より小さいことを調べる.


      確率分布と棄却域(赤色矢印)
    • H 1 : θ θ 0

      両側検定:基準と異なることを調べる.


      確率分布と棄却域(赤色矢印)

■事例

イチゴ味とオレンジ味のアイスキャンディーを,同じ本数だけ用意して販売した.初日に,イチゴ味かオレンジ味のどちらか1本を買った客は15人で,そのうち5人がイチゴ味,10人がオレンジ味を選んだ.この結果から,オレンジ味の方が選ばれやすいと判断できるか.

  • この場合,未知の母数はオレンジ味を選ぶ確率 p になる. 帰無仮説

    H 0 : p = 1 2

    (オレンジ味を選ぶ確率とイチゴ味を選ぶ確率が等しいと仮説を立てる.すなわち,オレンジ味を選ぶ確率を 1 2 と仮定する. )

    とする.

  • 有意水準を5%として判定することに決める.

  • 判定に用いる統計量は,15名の客の内オレンジ味を選ぶ客数になる.この客数を確率変数 X で表わすことにする. X 二項分布 B 15 , 1 2 に従う.以下に確率分布を示す.

  • 「オレンジ味の方が選ばれやすいと判断できるか」=「(オレンジ味の方が人気があるのはわかっているから)オレンジ味を選ぶ確率pが1/2より小さい(p<1/2)ことは考えずにオレンジ味を選ぶ確率pが1/2より大きい(p>1/2)ことだけを考えよう」=「数直線でいうpの1/2より右側だけを考えよう」ということになるので,対立仮説

    H 1 :p> 1 2

    となる.よって,右片側検定を採用する.

    グラフより,15人の客が10人以上オレンジ味を選ぶ確率は

    P X 10 0.151 = 15.1 %

    である.有意水準5%より大きな値となり,帰無仮説は棄却されない.すなわち,オレンジ味が選ばれやすいとは判断できない.

 

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最終更新日: 2026年4月15日

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