エレベーターの運動
図のように,質量
m
の人が,静止した質量
M
のエレベータの中に立っていた.時刻
t0
からこのエレベータはロープから鉛直上向きで大きさ
T
の張力を受けて,時刻
t1
まで鉛直上向きに等加速度直線運動をした.時刻
t1
からエレベータは時刻
t1
での速度のまま
等速直線運動をはじめた.ここで,重力加速度の大きさを
g
とし,空気抵抗は無視できるものとする.
(1)
時刻
t0
から時刻
t1
までのエレベータの加速度の大きさを求めよ.
解答
解説
加速度の鉛直方向成分を
a
として,鉛直上向きを加速度の正の向きとする.エレベータと人が一体となった物体を考えると,この物体の質量は
M+m
であり,この物体にはたらく力は鉛直上向きの張力(大きさ
T
)と鉛直下向きの重力(大きさ
(
M+m
)g
)の合力である.よって,合力の鉛直方向成分は
F=T−
(M+m
)g
と書けて,この物体の運動方程式は
(M+m)
a=T−
(M+m)
g
と表せる.したがって,
a=
T
M+m
−g
と求まる.このとき加速度は鉛直上向きであるので,
a>0
であり,加速度の大きさは
T
M+m
−g
となる.
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(2)
時刻
t0
から時刻
t
1
まで,エレベータが人に作用する垂直抗力(エレベータの床が人を鉛直上向きに押す力)の大きさを求めよ.
解答
解説
垂直抗力の大きさを
N
として,人に対して運動方程式を立てると
ma=N−mg
であり,(1)の結果を代入すると
N=m(
a+g
)=m(
T
M+m
−g+g
)=
mT
M+m
と求まる.
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解答
(
T
M+m
−g)
(
t1
−t0
)
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解説
時刻
t
での速度を
v(t)
とおくと,位置,速度,加速度の関係より,時刻
t1
での速度は
v(
t1
)=
∫
t0
t1
adt
=
∫
t0
t1
T
M+m
−g
dt
=
T
M+m
−g
t
t0
t1
=
T
M+m
−g
(
t1
−
t0
)
と求まる.
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(4)
時刻
t1
以降においてエレベータが等速直線運動をしているとき,張力の大きさ
T
を求めよ.
解答
解説
等速直線運動をしているということは,加速度が0であるということである.
よって(1)で求めた加速度の式を用いると,
0=
T
M+m
−g
より,
T=(
M+m
)g
となる.
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2020年9月9日