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応用分野: 2次曲線の標準化の定理1の証明2次曲線の標準化の定理2の証明

アフィン変換 (Affine transformation)

1次変換(線形変換)に平行移動を組み合わせた変換を アフィン変換 (Affine transformation) という.

変換前のベクトルを x ,変換後のベクトルを x とすると,アフィン変換は

x = Ax+b     ······ 

と表すことができ,右辺第1項目 Ax が1次変換に,第2項目 b が平行移動に対応する.ここで,正方行列 A は1次変換の表現行列であり,ベクトル b は平行移動する方向と距離を表す.式(1)は,ベクトル x を1次変換した後に b だけ平行移動させることを表す.

◆ 同次座標による表現

変換するベクトル x に,常に 1 である仮想的な座標を1つ付け加えることで,アフィン変換を1つの行列の積で統一的に表現できる.具体的には,式(1)に恒等式 1=1 を付け加え

{ x = Ax+b 1=0·x+1     ······ 

と書いて,まとめて行列表示すると

( x 1 ) = ( Ab 01 ) ( x 1 )     ······ 

と表せる.この仮想的な座標を1つ付け加えた座標 ( x 1 ) のことを 同次座標 (homogeneous coordinates) という.同次座標を導入することで1次変換と平行移動が1つの行列 M= ( Ab 01 ) の積として表現できるため,計算が簡潔になる.例えば,アフィン変換を 繰り返し k 回行う場合,それらの表現行列を M1 , M2 , , Mk とすると,1次変換の場合と同様の表記

( x 1 ) = MkM2M1 ( x 1 )     ······ 

で変換後のベクトル x が求まる.

■ 座標平面(2次元ベクトル空間)の場合

P(x,y) P ( x , y ) に移すアフィン変換は

{ x = a11x +a12y +b1 y = a21x +a22y +b2     ······ 

( x y ) = ( a11 a12 a21 a22 ) ( x y ) + ( b1 b2 )     ······ 

と表される.同次座標を用いると

( x y 1 ) = ( a11 a12 b1 a21 a22 b2 001 ) ( x y 1 )     ······ 

と表される.

■ 座標空間(3次元ベクトル空間)の場合

P(x,y,z) を点 P ( x, y, z ) に移すアフィン変換は

{ x = a11x +a12y +a13z +b1 y = a21x +a22y +a23z +b2 z = a31x +a32y +a33z +b3     ······ 

( x y z ) = ( a11 a12 a13 a21 a22 a23 a31 a32 a33 ) ( x y z ) + ( b1 b2 b3 )     ······ 

と表される.同次座標を用いると

( x y z 1 ) = ( a11 a12 a13 b1 a21 a22 a23 b2 a31 a32 a33 b3 0001 ) ( x y z 1 )     ······ 

と表される.


幾何学的には,1次変換は原点を固定したまま図形を変形させる変換で,

  • 拡大・縮小: 原点を基準として図形のサイズを変える
  • 回転: 図形を原点の周りで回転させる
  • せん断(スキュー): 図形の四角形領域を平行四辺形に変形する
  • 鏡映: 原点を通る軸に関して図形を反転させる
などがあり,アフィン変換はこれらに平行移動(図形の形や向きを変えずに位置をずらす)を加えた,より広範囲な変換となる.そのため,アフィン変換は,コンピュータグラフィックス,画像処理,地理情報システムなどの様々な分野で広く利用されている.


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最終更新日:2025年10月21日

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