部分空間 (subspace)
ベクトル空間の空でない部分集合で,かつ,ベクトル空間であるものを部分空間(subspace)といいう。
言い換えると,ベクトル空間Vの部分集合Wが,以下の2を満たしているとき,Wは部分空間となる.
(1) x1∈W,x2∈W⇒x1+x2∈W
(2) x∈W,c∈R⇒cx∈W Rは実数全体を意味する.
(1)を満たしていると,部分集合Wは「スカラー倍に関して閉じている」といい,(2)を満たしていると,
部分集合Wは「和に関して閉じている」という.
n次元ベクトル空間Vのr個のベクトルの組み{v1,v2,⋯,vr}の1次結合の集合全体
{c1v1+c2v2+⋯+crvr|c1,c2,⋯,cr∈R}
のことをv1,v2,⋯,vr
で張られる(または生成される)部分空間といい
⟨v1,v2,⋯,vr⟩
で表す.
■具体例
R2
の部分集合W={(xy)∣∣∣x+2y=0}
について
x1=(x1y1),x2=(x2y2)∈W,c∈R
とする.
x1=(x1y1),x2=(x2y2)∈W
より
x1+2y1=0 ・・・・・・(1)
x2+2y2=0 ・・・・・・(2)
となる.
x1+x2=(x1y1)+(x2y2)=(x1+x2y1+y2)
について
(x1+x2)+2(y1+y2)=(x1+2y1)+(x2+2y2)=0
(∵(1),(2)を代入より)
よって,x1+x2
はWであるための条件を満たしており
x1+x2∈W ・・・・・・(3)
である.
cx1=c(x1y1)=(cx1cy1)について
cx1+2cy1=c(x1+2y1)=0
(∵(1)を代入より)
よって,cx1
はWであるための条件を満たしており
cx1∈W
・・・・・・(4)
である.
以上(3),(4)より,W
は部分空間であるための条件を満たしており,W
は部分空間であるといえる.
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最終更新日:2022年7月21日