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対角化可能であるための条件 その2

定理

n 次正方行列 A において, n 個の相異なる固有値が存在するとき, A 対角化可能である.

■証明

n 次正方行列 A n 個の相異なる固有値を, λ 1 λ 2 λ 3 ,・・・, λ n とし,各固有値に対応する n の固有ベクトルを, x 1 x 2 x 3 ,・・・, x n とする.固有値・固有ベクトルの定義より

A x i = λ i x i  ( x i λ i に対応する固有値, i=1,2,3,,n )・・・・・・(1)

の関係がある.

数学的帰納法により証明する.

k=1 のとき,すなわち,1個の固有ベクトル x 1 のみのとき,

c 1 x 1 =0 ・・・・・・(2)

とおく.

x 1 は固有ベクトルであることより, x 1 0 である.よって,(1)が成り立つためには,

c 1 =0

となり,

1個の固有ベクトル x 1 は1次独立ある. ・・・・・・(3)

k=m<n のとき,すなわち, m の固有ベクトル, x 1 x 2 x 3 ,・・・, x m のとき,

これらの固有ベクトルの組が1次独立であると仮定する. ・・・・・・(4)

k=m+1 のとき,すなわち, m+1 の固有ベクトル, x 1 x 2 x 3 ,・・・, x m x m+1 のとき

c 1 x 1 + c 2 x 2 + c 3 x 3 ++ c m x m + c m+1 x m+1 =0  ・・・・・・(5)

とおく.(5)の両辺に左から A をかけると

c 1 A x 1 + c 2 A x 2 + c 3 A x 3 + + c m A x m + c m+1 A x m+1 =A0

となり,(1)より

c 1 λ 1 x 1 + c 2 λ 2 x 2 + c 3 λ 2 x 3 + + c m λ m x m + c m+1 λ m+1 x m+1 =0  ・・・・・・(6)

が得られる.次に,(5)の両辺に λ m+1 をかけると

c 1 λ m+1 x 1 + c 2 λ m+1 x 2 + c 3 λ m+1 x 3 ++ c m λ m+1 x m + c m+1 λ m+1 x m+1 =0  ・・・・・・(7)

(7)−(6)より

c 1 λ m+1 λ 1 x 1 + c 2 λ m+1 λ 2 x 2 + c 3 λ m+1 λ 3 x 3 ++ c m λ m+1 λ m x m =0  ・・・・・・(8)

が得られる. m 個の固有ベクトル, x 1 x 2 x 3 ,・・・, x m の組が1次独立であるので,(8)が成り立つためには

c 1 λ m+1 λ 1 = c 2 λ m+1 λ 2 = c 3 λ m+1 λ 3 == c m λ m+1 λ m =0

でなければならない. n 個の固有値は相異なるので, λ m+1 λ i 0 i=1,2,3,,m )である.よって

c 1 = c 2 = c 3 == c m =0  ・・・・・・(9)

となる.(9)を(5)に代入すると

c m+1 x m+1 =0  ・・・・・・(10)

となる. x m+1 0 より

c m+1 =0  ・・・・・・(11)

となる.(9),(11)より,(5)が成り立つためには,(5)の左辺の x i i=1,2,3,,m,m+1 )の係数がすべてゼロになる.すなわち

(4)の仮定においては, m+1 の固有ベクトル, x 1 x 2 x 3 ,・・・, x m x m+1 の組は1次独立となる.

以上より, A n 個の相異なる固有値が存在するとき, m の固有ベクトル, x 1 x 2 x 3 ,・・・, x k の組は1次独立である.ただし, k=1,2,3,,n である.

すなわち, n 次正方行列 A において, n 個の相異なる固有値が存在するとき,1次独立 n 個の固有ベクトルが存在する.

したがって,この定理より A 対角化可能である.

 

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最終更新日:2022年7月19日

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