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最小二乗法(偏微分を用いた計算)

ある物理量 y がある物理量 x の関数で

y=ax+b

と表されるとする.例えば x の値を決めて y の値を測定する作業を n 回繰り返し,表のように n 個の xy の対が得られたとする.

測定回数 1 2 3 …… n1 n
x の値 x1 x2 x3 …… xn1 xn
y の値 y1 y2 y3 …… yn1 yn

この xy の対を xy 座標上にプロットすると

となり,実験条件のバラツキや測定誤差などの要因で,プロットした点は直線上に乗らない.(本来なら y=ax+b の関係があるので,すべての点は直線上に乗るはずである.)

プロットした点と y=ax+b との y 軸方向の値の差 Δi

Δi=yi(axi+b)

となる. ab の値によって Δi の値は変化する.すべての点で Δi の値を小さくする ab の値が, xy の関係を表す最も確からしい値だと考えることができる. ab の値を決める方法として

Δ2=i=1nΔi2=i=1n{yi(axi+b)}2

の値を最小とする ab を用いる方法がある.この方法のことを最小二乗法という.

Δ2 は最小となる ab の値

a=σxyσx2b=y¯ax¯

ただし

x¯=1ni=1nxiy¯=1ni=1nyi (参照:平均)

σxy=1ni=1nxiyix¯y¯ (参照:共分散)

σx2=1ni=1nxi2x¯2 (参照:分散)

■導出

Δ2ab2変数関数と考える.

Δ2=i=1nyiaxi+b2

=i=1nyi22axi+byi+axi+b2

=i=1nyi22axiyi2byi+axi2+2abxi+b2xi2

=i=1nxi2a2+xi2b2+2xiab2xiyia2yib+yi2

a2b2の係数が正であることより,Δ2 は最小値を持つ.

Δ2 が最小値を示す時

aΔ2=0 ・・・・・・(1)

bΔ2=0 ・・・・・・(2)

を満たす(偏導関数を参照).

aΔ2=ai=1nyiaxi+b2

=i=1nayiaxi+b2

=i=1n2yiaxi+bayiaxi+b

=i=1n2yiaxi+bxi

=2i=1nyiaxi+bxi

=2i=1nyixiaxi2bxi

=2i=1nyixiai=1nxi2bi=1nxi ・・・・・・(3)

(3),(1)より

i=1nyixiai=1nxi2bi=1nxi=0 ・・・・・・(4)

(2)より

bΔ2=bi=1nyiaxi+b2

=i=1nbyiaxi+b2

=i=1n2yiaxi+bbyiaxi+b

=i=1n2yiaxi+b1

=2i=1nyiaxi+b

=2i=1nyiaxib

=2i=1nyiai=1nxibi=1n1

=2i=1nyiai=1nxinb ・・・・・・(5)

(5),(2)より

i=1nyiai=1nxinb=0 ・・・・・・(6)

(6)より

b=1ni=1nyiai=1nxi

=1ni=1nyia1ni=1nxi ・・・・・・(7)

(4)に(7)を代入する.

i=1nyixiai=1nxi21ni=1nyia1ni=1nxii=1nxi=0

ai=1nxi21ni=1nxi2=i=1nyixi1ni=1nyii=1nxi

a=i=1nyixi1ni=1nyii=1nxii=1nxi21ni=1nxi2 ・・・・・・(8)

1ni=1nxi=x¯  (参照:平均) ・・・・・・(9)

1ni=1nyi=y¯  (参照:平均) ・・・・・・(10)

(8)に(9),(10)を代入する.

=1ni=1nyixi1ni=1nyi1ni=1nxi1ni=1nxi21ni=1nxi2

=1ni=1nyixiy¯x¯1ni=1nxi2x¯2 ・・・・・・(11)

σxy=1ni=1nxiyix¯y¯ (参照:共分散) ・・・・・・(12)

σx2=1ni=1nxi2x¯2 (参照:分散) ・・・・・・(13)

(11)に(12),(13)を代入する.

=σxyσx2 ・・・・・・(14)

(7)に(9),(10)を代入する.

b=y¯ax¯ ・・・・・・(15)

以上をまとめると

a=σxyσx2b=y¯ax¯

とき Δ2 は最小となる.

 

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最終更新日 2025年2月8日

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