関数の極限値の性質の証明
limx→af(x)
,limx→ag(x)
が存在するとき,次式が成り立つ.
limx→af(x)g(x)=limx→af(x)limx→ag(x) (limx→ag(x)≠0
)
■証明
limx→af(x),limx→ag(x)
が存在することより
limx→af(x)=α,limx→ag(x)=β
とする.言い換えると以下のようになる.
任意の正数ε
に対して,適当な正の数δ
があって
0<|x−a|<δのすべてのx
について|f(x)−α|<ε,|g(x)−β|<εとなる
ところで
0<|x−a|<δのすべてのx
について|g(x)−β|<εとなる
ことより
0<|x−a|<δ′
のすべてのx
について|g(x)−β|<|β|2
となる正の数δ′
が存在する.
今回は,適当な正の数δを選ぶとき,δ′を選ぶことにする.
この場合
|g(x)|=|g(x)−β+β|=|β+(g(x)−β)|≧|β|−|g(x)−β|>|β|−|β|2=|β|2 ・・・・・・(1)
となる.
上記前提の下で
∣∣∣f(x)g(x)−αβ∣∣∣=∣∣∣βf(x)−αg(x)βg(x)∣∣∣
=|βf(x)−αβ+αβ−αg(x)||βg(x)|
=|β(f(x)−α)−α(g(x)−β)||βg(x)|
三角不等式の関係より
≦|β(f(x)−α)|+|α(g(x)−β)||βg(x)|
=|β||f(x)−α|+|α||g(x)−β||β||g(x)|
(1)の関係を用いると
<|β|ε+|α|ε|β||β|2
=2(|β|+|α|)|β|2ε ・・・・・・(2)
となる.
2(|β|+|α|)|β|2ε=ε′
とおくと,(2)は
∣∣∣f(x)g(x)−αβ∣∣∣<ε′
となる.α
,βは有限な値,
εは任意の正数より,ε′も任意の正数とみなすことができる.
整理すると
任意の正数ε′
に対して,正の数δ′
があって
0<|x−a|<δ′のすべてのx
について∣∣∣f(x)g(x)−αβ∣∣∣<ε′
となる
すなわち
limx→af(x)g(x)=αβ=limx→af(x)limx→ag(x)
が成り立つ.
ホーム>>カテゴリー別分類>>その他>>関数の極限値の性質
最終更新日 2023年12月20日