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cos関数の合成(複素数を用いた導出) (composition of cosine functions (derivation using complex numbers))

2つのcos関数 r1cosθ1r2cosθ2 の合成式を,複素数を用いて表すと

r1cosθ1+r2cosθ2 =Re[r1eθ1+r2eθ2]     ---- (1)

となる( オイラーの公式).

r1eθ1+r2eθ2

=r1+r22(eθ1+eθ2)+r1r22(eθ1eθ2)

=r1+r22exp[θ1+θ22](exp[θ1θ22]+exp[θ1θ22])

     +r1r22exp[θ1+θ22](exp[θ1θ22]exp[θ1θ22])

=exp[θ1+θ22]{(r1+r2)cosθ1θ22+(r1r2)sinθ1θ22}     ---- (2)

上式において

a=(r1+r2)cosθ1θ22 ,   b=(r1r2)sinθ1θ22 ,   θ=θ1+θ22     ---- (3)

とおくと

r1eθ1+r2eθ2=eθ(a+b) =eθreφ =re(θ+φ)     ---- (4)

となる.ここで,

r=a2+b2 =r12+r22+2r1r2cos(θ1θ2)     ---- (5)

tanφ=ba =r1r2r1+r2tanθ1θ22     ---- (6)

である.したがって,

r1cosθ1+r2cosθ2 =Re[r1eθ1+r2eθ2] =Re[re(θ+φ)] =rcos(θ+φ)

を得る.(導出完了)


(※)(1)の複素数を用いた表現において

r1cosθ1+r2cosθ2 =Re[r1eθ1+r2eθ2]     ---- (7)

として同様に進めると,

r1eθ1+r2eθ2=re(θ+φ)     ---- (8)

r=r12+r22+2r1r2cos(θ1+θ2) ,   θ=θ1θ22 ,   tanφ=r1r2r1+r2tanθ1+θ22     ---- (9)

が得られる.


■ 複素平面での幾何学的な意味

図に示すように,複素数の和

r1eθ1+r2eθ2=re(θ+φ)

は,複素平面上での2つのベクトルの和に対応する.右側の図中の角 α は,

α=θ1θ2     ---- (10)

であり,余弦定理により

r=r12+r222r1r2cos(πα)
  =r12+r22+2r1r2cosα     ---- (11)

である.また,角 ϕ は次式を満たす.

tanϕ=r1sinαr1cosα+r2     ---- (12)

図から分かるように, θ+φ=θ2+ϕ であり, θ=(θ1+θ2)/2 なので

φ=θ2+ϕθ1+θ22 =ϕθ1θ22 =ϕα2     ---- (13)

となる.したがって,

tanφ=tan(ϕα2) =tanϕtanα21+tanϕtanα2   ( 加法定理
       =r1sinαr1cosα+r2tanα21+r1sinαr1cosα+r2tanα2 =r1sinα(r1cosα+r2)tanα2r1cosα+r2+r1sinαtanα2
       =2r1sinα2cosα2r1(2cos2α21)tanα2r2tanα2r1(12sin2α2)+r2+2r1sinα2cosα2tanα2   ( 2倍角の公式
       =(r1r2)tanα2r1+r2 =r1r2r1+r2tanθ1θ22     ---- (14)

が得られる.

また,式(2)の表現

r1eθ1+r2eθ2 =eθ{(r1+r2)cosα2+(r1r2)sinα2}     ---- (15)

θ=(θ1+θ2)/2α=θ1θ2 )において,右辺の {} 内は,長径を r1+r2 ,短径を r1r2 とした複素平面上の楕円軌道を表している.その楕円軌道上の,角 α/2 のときの位置ベクトルは xy 平面上で

rφ=((r1+r2)cosα2,(r1r2)sinα2)

と表され,その大きさが

r=|rφ|
   =(r1+r2)2cos2α2+(r1r2)2sin2α2
   =r12+r22+2r1r2cosα

であり, x 軸とのなす角 φ

tanφ=(r1r2)sinα2(r1+r2)cosα2 =r1r2r1+r2tanα2

を満たす(ただし, α=±π のとき φ=±π/2 とする).したがって,

rφ=(rcosφ,rsinφ)

と表される.さらに,式(15)の右辺の指数関数 eθ は,複素平面上のベクトルを原点の周りに角 θ だけ回転させることに対応するので, rφθ 回転させると

rφrθ+φ =(rcos(θ+φ),rsin(θ+φ))

となる.したがって,

rθ+φre(θ+φ)=r1eθ1+r2eθ2

という対応がある.

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最終更新日:2024年9月30日

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