m
次の整式
F(x)
と
n
次の整式
G(x)
からなる有利関数(ただし,
m>n
)
G(x)F(x)
において,
F(x)=P(x)Q(x)
に因数分解され
,
P(x)
と
Q(x)
は互いに素(共通因数をもたない)であるとすると
,
G(x)F(x)
は
G(x)F(x)=A(x)P(x)+B(x)Q(x)
と
P(x)
,
Q(x)
を分母とする分数
,いわゆる部分分数に一意に分解できる.
このとき,整式
A(x)
,
B(x)
,
P(x)
,
Q(x)
の次数を
iA
,
jB
,
kP
,
lQ
とすると
iA<kP
,
jB<lQ
,
kP+lQ=m
である.
■証明
kP≧lQ
として,
P(x)
を
Q(x)
で割ったときの商を
S1(x)
余りを
R1(x)
とすると
P(x)=S1(x)Q(x)+R1(x)
・・・・・・(1)
と表すことができる.
S1(x)
の次数を,
s1
,
R1(x)
の次数を
r1
とすると
kP=s1+lQ
,
r1<lQ
の関係がある.
また,(1)より
R1(x)=P(x)−S1(x)Q(x)
・・・・・・(2)
となる.
次に,
Q(x)
を
R1(x)
で割ったときの商を
S2(x)
,余りを
R2(x)
とすると
・・・・・・(3)
と表すことができる.
の次数を
,
の次数を
とすると
,
の関係がある.
また,(3)より
・・・・・・(4)
と表すことができる.
このような操作を余りの次数が0次,すなわち余りが定数項のみになるまで繰り返す.
・・・・・・(5-1)
・・・・・・(5-2)
・・・
・・・・・・(5-n-3)
・・・・・・(5-n-2)
となり
の次数
は0である(
=0).よって
・・・・・・(6)
はある値)
となる.(2)を(4)に代入する.
・・・・・・(7)
(5-1)に(2)と(7)を代入する.
・・・・・・(8)
このような操作を繰り返すと,一般に以下のように表すことができる.
・・・・・・(9)
,
は多項式
(9)に(6)を代入すると
・・・・・・(10)
の形で表される.(10)の両辺を
で割ると
とおくと
・・・・・・(11)
となる.
(11)の両辺に
をかける.
・・・・・・(12)
(12)の左辺の
に
を代入する.
・・・・・・(13)
を
で割ったときの商を
,
余りを
,
を
で割ったときの商を
, 余りを
とすると
(
は
より低次数,
は
より低次数となる. )
・・・・・・(14)
・・・・・・(15)
となる.(14)に(15), (13)を代入する.
・・・・・・(16)
の次数は
で分子の次数(
の次数)
より大きい.よって
となる.よって,(16)は
・・・・・・(17)
となり,
は,と
,
を分母とする分数
,いわゆる部分分数に一意に分解できる.
・・・・・・(18)
とおく.(18)を以下のように変形する.
・・・・・・(19)
が整式になるためには
(i)
で
となる場合
あるいは
(ii)
が
を因数として含む場合
である.
(ii)の場合
とおくと
・・・・・・(20)
となる.(20)の左辺の次数の最大値は,
の次数,あるいは,
である.
一方,(20)の右辺の次数の最小値は,
の次数である.
,
の次数は,
の次数より低い.よって(20)が成り立つことはない.すなわち,(ii)の場合は存在せず,(i)の場合だけである.
したがって
,
となり,部分分数分解は一意に決まる.
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最終更新日:
2025年1月6日