弾性力のした仕事

■問題

質量 M の物体があり,図のようにばねでつながれている.物体を原点から点 A までゆっくりと動かしたとき,弾性力(Elastic Force)のした仕事を求めよ.ただし,ばね定数は k ,ばねの自然長は l とし,物体はばねの弾性力により持ち上がることはないとする.

■答

1 2 k ( l 2 + d 2 l ) 2

■ヒント

弾性力仕事

■解説

図のように物体の移動方向を x 軸の正方向とする.また,物体の位置を x で表すこととする.

物体の位置が x のときのばねの伸び Δl は, x まで移動したときのばねの長さから元のばねの長さ l を引いたものである.

ここで, x まで移動したときのばねの長さを l とすると, l 三平方の定理より

l = l 2 + x 2  

したがって

Δl= l l = l 2 + x 2 l  

よって,ばねの弾性力 F の大きさ F

F =kΔl =k( l 2 + x 2 l )  

となる.

図のように x 軸と弾性力のなす角を θ とすると,三角関数の定義より

cosθ= x l 2 + x 2 = x l 2 + x 2  

となる.

物体を位置 x から dx だけ動かした時にかかる弾性力のした仕事  dW

dW= F cosθ dx =k l 2 x 2 l x l 2 + x 2 dx = kx l 2 x 2 l l 2 + x 2 dx

となる.従って,物体を原点 O から点 A まで動かした時の弾性力のした仕事  W

W = 0 d kx ( l 2 + x 2 l ) l 2 + x 2 d x  

= 0 d ( k x k l x l 2 + x 2 ) d x  

= 0 d k x d x + 0 d k l x l 2 + x 2 d x  

= [ 1 2 k x 2 ] 0 d + [ klt ] l l 2 + d 2  

( 0 d klx l 2 + x 2 dx= klt l l 2 + d 2 の計算はここを参照)

= 1 2 k d 2 + k l l 2 + d 2 + k l 2  

= 1 2 k ( d 2 2 l l 2 + d 2 + 2 l 2 )  

= 1 2 k ( l 2 + d 2 2 l l 2 + d 2 + l 2 )  

= 1 2 k { ( l 2 + d 2 ) 2 2 l l 2 + d 2 + l 2 }  

= 1 2 k ( l 2 + d 2 l ) 2  


よって,物体を原点から点Aまでゆっくりと動かしたときの弾性力のした仕事は 1 2 k ( l 2 + d 2 l ) 2 である.

 

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最終更新日: 2023年11月23日