|
|||||||||||||
|
|||||||||||||
|
2次曲線の標準化における【定理 2】無心の場合の標準化 を証明する.
平面上の2次曲線を表す式
の係数を成分とする2つの対称行列
, ······
を考える. の行列式を
······
とすると, の行列式は
······
である( を用いた).
(※ 式において または の場合,無心であれば式より なので,既に標準化されている.)
以下の手順で【定理 2】を証明する(各手順の行をクリックすると解説欄が開く).
行列 の固有方程式
······
より, のとき の2つの固有値 , のうち片方は ゼロとなる.それらを
, ······
とすると,対応する大きさ の固有ベクトルは
, ······
となる(複合任意).式から得られる直交行列 は符号の任意性をもつが, となるよう
······
とおくと, による直交変換は回転変換に対応付けられる.行列 は により
······
と対角化され, と列ベクトル を用いて,式を
······
······
となる(2次形式の標準化).このように,異なる2つの変数の積が消えるように式を標準化すると, なので, の項が消える(※ とおくと の項が消える).したがって,式は放物線の標準形に帰着するため, のとき,式の2次曲線には(退化する場合も含めて)中心点が存在せず,無心であることがわかる.
【定理 1】の証明と同様に,平行移動と式の直交行列 による直交変換
······
を用いて,式を標準形に変換する.【手順 1】より,この直交変換では の項が消えるので,平行移動では の1次の項が消えるように , を決める.式より
······
であり,これを式に代入すると
となる( は式の対角行列).ここで,上式第2項の{ }内の項は,それぞれ
となるので,第2項は
と書ける.したがって,式は
と表される.上式において, の1次の項を消すには内積 であればよいので, , は
( :任意定数) ······
を満たせばよい.
は任意なので, と選ぶと,
······
となる(このように求めた点 は対称軸上の点であるが,放物線の焦点でも, でなければ頂点でもない).このとき,
······
とおくと,式は次式の標準形となる.
······
ここで,
である(上式の最終行で , を用いた).また,式において, のとき の1次の項が消え,2次曲線は放物線ではなく,退化して平行な2つの直線となる.式と式を見比べてわかるように, のとき である.
座標変換の式を,同次座標を用いたアフィン変換で表すと
······
のように,直交変換と平行移動をまとめて1次変換のように表すことができる.このとき列ベクトルの3番目の成分は必ず となる.上式右辺の3次正方行列を
······
とおくことにする.この同次座標の表現を用いると,式は
······
と表すことができるため,1次の項や定数項を含めて,あたかも2次形式の行列表示のように表記できる.ここで, を計算すると,
である(式より ).上式の最終行では,式および を用いて
と求めた.したがって,式に式を代入し,式を用いると,
を得る.このようにアフィン変換の表現を用いると平行移動を含めて1次変換として扱えるので,式展開がスッキリする.
ただし, は直交行列ではないので, , である.ちなみに, なので, であり,行列 によるアフィン変換で判別式は不変である.実際,式より
······
である.
式を標準形に変換する際,【手順 2】の式において の1次の項を消すために,式を満たすように平行移動の量 を決めるのであるが, の任意性があり,最も簡単な場合として を選んだ.幾何学的には,式を満たす点 は放物線(退化するときは平行な2直線)の対称軸上の点である.(※ を選ぶと,退化したときの対称軸に原点から垂線を下したときの交点となる.)
このように平行移動には任意性があるが,放物線の場合( ),最初から原点が頂点となるような平行移動により標準化できる.つまり,式において,式と を同時に満たす , を求めれば,点 が一意に定まり,その点が式における放物線の頂点の座標を表している.
放物線の頂点の座標を,式の と区別して とおくと,式より
······
となり,これを に代入し,
であることを用いると
となる(上式の最終行で式を用いた).
したがって,
······
を得る.これを式に代入して頂点の座標 が求まり,座標変換
······
で,式は
······
と変換される.ただし,式のように複雑な式となるので, を選ぶ方が簡単である.
ホーム>>カテゴリー分類>>幾何>>図と方程式>>2次曲線の標準化>>2次曲線の標準化の定理2の証明
最終更新日:2025年10月17日