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グリーンの定理(補題2)

xy 平面上において D を有界な領域とする. D の境界は有限個の区分的に滑らかな閉曲線からなるものとする.この境界を C とし,正の向きを定める.閉領域 D が横線形領域 D :cydξ(y)xζ(y) と表せ, 2変数関数 g(x,y) が閉領域 D で1回微分可能であるならば次式が成り立つ.

Dgx(x,y)dxdy=Cg(x,y)dy ・・・・・・(1)

■導出

領域を図示すると図のようになる.これを累次積分(重積分)と考えて式を変形すると

Dgx(x,y)dxdy=dc(ζ(y)ξ(y)gx(x,y)dx)dy

y を固定して fx(x,y)x で積分する

=dc([g(x,y)]ζ(y)ξ(y))dy

y は固定しているので x のみが変化する

=dc{g(ζ(y),y)g(ξ(y),y)}dy

定積分の基本式を使用して2つの積分に分ける

=dcg(ζ(y),y)dydcg(ξ(y),y)dy  ・・・・・・(2)

次に,線積分と考えて式を変形する.

境界 C において点ABCDEFGHA と一周する経路を正の向きとする.

G から点 B に至る経路を C5
B から点 C に至る経路を C6
C から 点F に至る経路を C7
F から点 G に至る経路を C8

とすると,境界 C に沿った線積分は次のように表せる.

Cg(x,y)dy=C5g(x,y)dy+C6g(x,y)dy+C7g(x,y)dy+C8g(x,y)dy ・・・・・・(3)

右辺の各項について考える.

[1] C5g(x,y)dy

y=t とおいて, C5 を変数 t を用いて表すと

{(ξ(t),t);t[c,d]} ・・・・・・(4)

となる.

この曲線上において td から c に変化させると,点ζ は経路 C5に沿って G から B に移動することから,線積分 C1g(x,y)dy を積分変数がt定積分置換すると

C5g(x,y)dy=cdg(ξ(t),t)dydtdt ・・・・・・(5)

ここで, y=t であるから

dydt=1 ・・・・・・(6)

となる.(6)を(5)に代入すると

C5g(x,y)dy=cdg(ξ(t),t)dt=dcg(ξ(t),t)dt ・・・・・・(7)

[2] C6g(x,y)dy

経路 C6 において, y は常に y=c である.

よって, x=t とおいて, C6 を変数 t および定数 c を用いて表すと

{(t,c);t[ξ(c),ζ(c)]} ・・・・・・(8)

[1]と同様に積分変数がt定積分置換すると

C6g(x,y)dy=ζ(y)ξ(y)g(t,c)dydtdt ・・・・・・(9)

ここで, y=c であるから

dydt=0 ・・・・・・(10)

となる.よって

C2g(x,y)dy=ζ(y)ξ(y)g(t,b)dydtdt=0 ・・・・・・(11)

[3] C3g(x,y)dy

[1]と同様に y=t とおいて C7 を変数 t を用いて表すと

{(ζ(t),t);t[c,d]} ・・・・・・(12)

となる.

この曲線上において tc から d に変化させると,点(t,ζ(t)) は経路 C3に沿って C から D に移動することから, 線積分 C7g(x,y)dy を積分変数がt定積分置換すると

C7g(x,y)dy=dcg(ζ(t),t)dydtdt ・・・・・・(13)

ここで, y=t であるから

dydt=1 ・・・・・・(14)

となる.(14)を(13)に代入すると

C7g(x,y)dy=dcg(ζ(t),t)dt ・・・・・・(15)

となる.

[4] C4g(x,y)dy

経路 C8 において, y は常に y=d である.

よって,[2]と同様に

dydt=0 ・・・・・・(16)

となる.よって,

C8g(x,y)dy=0 ・・・・・・(17)

[1],[2],[3],[4]より

Cf(x,y)dx

=C5g(x,y)dy+C6g(x,y)dy+C7g(x,y)dy+C8g(x,y)dy

=dcg(ξ(t),t)dt+0+dcg(ζ(t),t)dt+0

=dcg(ζ(t),t)dtdcg(ξ(t),t)dt ・・・・・・(18)

累次積分と線積分による解をまとめると

累次積分による解((2)を書き直している)

Dgx(x,y)dxdy=dcg(ζ(y),y)dydcg(ξ(y),y)dy ・・・・・・(19)

線積分による解((18)を書き直している)

Cg(x,y)dy=dcg(ζ(t),t)dtdcg(ξ(t),t)dt  ・・・・・・(20)

(20)に(19)を代入して

Cg(x,y)dy=Dgx(x,y)dxdy

Dgx(x,y)dxdy=Cg(x,y)dy ・・・・・・(21)

が得られる.

 

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学生スタッフ作成
最終更新日: 2024年10月7日

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