2次の偏微分
■問題
次の関数の第2次偏導関数を求めよ.
z=sin−1xy
■答
∂2z∂x2=xy3(1−x2y2)√1−x2y2
∂2z∂y2=x3y(1−x2y2)√1−x2y2
∂2z∂y∂x=∂2z∂x∂y
=1(1−x2y2)√1−x2y2
■ヒント
2次偏導関数∂2z∂x2
,∂2z∂y2
,∂2z∂y∂x,∂2z∂x∂y
の4つを求める.
∂z∂x
,∂z∂y
を計算してから,それぞれを更にx,yで偏微分する.
■解説
●∂z∂x
の計算
z=sin−1xyを偏導関数の定義より,
y
を定数とみなしてx
で微分する.
∂z∂x=∂∂x(sin−1xy)
=1√1−x2y2×∂∂x(xy)
=y√1−x2y2
=y(1−x2y2)−12 ・・・・・・(1)
●∂z∂y
の計算
z=sin−1xyを偏導関数の定義より,
x
を定数とみなしてy
で微分する.
∂z∂y=∂∂y(cosx2y2)
=1√1−(xy)2×∂∂x(xy)
=x√1−x2y2
=x(1−x2y2)−12 ・・・・・・(2)
●∂2z∂x2
の計算
(1)を更に,
偏導関数の定義より,
y
を定数とみなして
x
で微分する.
∂2z∂x2=∂∂x(∂z∂x)
=∂∂x{y(1−x2y2)−12}
=y⋅(−12)⋅(1−x2y2)−32⋅∂∂x(1−x2y2)
=−12y(1−x2y2)−32⋅(−2xy2)
=xy3(1−x2y2)√1−x2y2
●∂2z∂y2
の計算
(2)を更に,
偏導関数の定義より,
x
を定数とみなして
y
で微分する.
∂2z∂y2=∂∂y(∂z∂y)
=x⋅(−12)(1−x2y2)−32×∂∂y(1−x2y2)
=−12x(1−x2y2)−32⋅(−2x2y)
=x3y(1−x2y2)√1−x2y2
●∂2z∂y∂x
の計算
(1)を更に,偏導関数の定義より,
x
を定数とみなして
y
で微分する.
∂2z∂y∂x=∂∂y(∂z∂x)
=∂∂y{y(1−x2y2)−12}
積の微分の公式を用いて
=(1−x2y2)−12+y⋅(−12)(1−x2y2)−32⋅∂∂y(1−x2y2)
=(1−x2y2)−12+−12y(1−x2y2)−32×(−2x2y)
=1−x2y2+x2y2(1−x2y2)√1−x2y2
=1(1−x2y2)√1−x2y2 ・・・・・・(3)
●∂2z∂x∂y
の計算
(2)を更に,偏導関数の定義より,
y
を定数とみなして
x
で微分する.
∂2z∂y∂x=∂∂y(∂z∂x)
=∂∂x{x(1−x2y2)−12}
=(1−x2y2)−12+x⋅(−12)⋅(1−x2y2)−32×∂∂x(1−x2y2)
=(1−x2y2)−12+−12x(1−x2y2)−32×(−2xy2)
=1−x2y2+x2y2(1−x2y2)√1−x2y2
=1(1−x2y2)√1−x2y2 ・・・・・・(4)
(3),(4)より
∂2z∂y∂x=∂2z∂x∂y
となり,2次偏導関数は偏微分する順序には無関係であることが確かめられた.
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最終更新日:
2023年8月31日